◆処分場周辺住民「取り決めに違反」
岩手県山田町の震災がれきの受け入れをめぐり、富士市は十九日、同市鵜無ケ淵(うないがふち)の吉永北まちづくりセンターで、焼却灰を埋め立てる最終処分場周辺の住民と協議した。住民側は「埋め立ては従来の取り決めに反する」と強く反対。市の受け入れ計画は暗礁に乗り上げた。
六月五日に震災がれきの試験焼却を実施した市は、市民全体を対象に、焼却の安全性を示す説明会を開いた上で、七月下旬にも本格的に受け入れる予定だった。
市によると、市と最終処分場周辺の吉永、吉永北、神戸(ごうど)三地区は二〇〇一年の処分場の建設(一期工事)や、〇九年の処分場増設(二期工事)の際、「埋め立てできる廃棄物は市内から排出されたものとする」と記した確認書を交わした。
受け入れる廃棄物を限定することで、有害物質による地下水の汚染などを防止する狙いだった。
この日の協議には鈴木尚市長ら市幹部と、住民側の代表者計約二十人が参加。鈴木市長は「特例として(震災がれきの焼却灰の)埋め立てを認めてほしい」と訴えた。住民側は被災地支援への理解を示す一方で、「公的な文書(確認書)に反する特例は認められない」と結論づけた。
鈴木市長は協議終了後、「住民を無視してがれきは受け入れられない。国や県と相談して今後の対応を決めたい」と説明。市外の処分場を探すことについても、否定的な見解を示した。
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