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ファイナルファンタジー25周年に寄せて

私が初めて関わったFFはチョコボの不思議なダンジョン2の開発が終わった直後、同じハワイオフィスで開発されていたFF9でした。
途中参加だったためにアートディレクターの皆葉さんの下で、キャラクターのデザイン、CGの背景をゲーム用に落とすレタッチ作業、武器デザインの監修、ミニゲームの制作など広い範囲に関わることになりました。まだスクウェアに入社して間もなかったこともあり、関わる各セクションがあげてくるリソースのクオリティの高さと、そこにかける熱意に感激したのを覚えています。

我々技術職の人間は百の本や言葉で教わるよりも、胸打つ一枚の絵、ひとつの動画を見て大きくイメージを膨らまし、新たなものを創り出す火種とするようなところがあります。
FF9でその起爆剤だったのは夕暮れに染まるアレクサンドリア王国上空にやってきた劇場艇プリマビスタのイメージでした。
この街にはどんな人間が住むのだろう、この空飛ぶ劇場はどんな舞台を見せてくれるのだろう。そしてどんな冒険が...、と我々開発者がワクワクするところからが本当のゲーム制作のスタートで、その後続々とFF9の世界の奥行きは広がっていきました。

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FFの開発現場は様々なスキルを持つスタッフが集結して各々のテイストをぶつけ合い、刺激し合うことで化学反応を起こして新しい遊びとビジュアルを創り出す土俵のような側面があります。FF9もそうした土俵で揉まれて誕生し、たぶんディレクターも当初は想定し得なかった領域のビジュアルを持つゲームに仕上がったのではないかと思っています。

実際、完成後にスタッフが集まった会議室でのゲーム披露会では、我々が作ったものに誰かがスプーン一杯分の特別な味を加えてくれたような、今まで毎日見ていたものに魂が宿ったような感覚を覚えて、エンディングを見ながら思わず感極まってしまいました。その時にイベントチーフである青木和彦が「FFマジックっていうがあって、最後の最後に宿るんだよね。」と満足そうに言っていたのをよく覚えています。

そんなマジックが宿ったファイナルファンタジーはこれからも続いていきます。

ワクワクしながら遊んで頂き、最後になにかひとつ心に残せるような作品を目指してスタッフ一同がんばっていきます。
これからもファイナルファンタジーをよろしくお願いいたします。

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板鼻利幸

FF9 キャラクターデザイン、背景製作、ミニゲームデザイン
FF13-2 コスチュームデザイン
チョコボシリーズ
FFクリスタルクロニクルシリーズ




クリエイターズボイスは、今後も続々と更新していきます。
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