ソニー「PS Vita」に活気!家庭用ゲーム機が復権へ

2012.07.20


nasne(ナスネ)【拡大】

 ディー・エヌ・エーやグリーなどのソーシャルゲーム興隆の陰で、家庭用ゲーム機市場の苦戦が伝えられて久しいが、ここにきて復権の動きが出始めている。

 牽引役はソニーだ。昨年の年末商戦期に発売された同社の携帯ゲーム機「PS Vita」は本体のほかにゲームに必要なメモリーなどを加えた総額支出が2万−3万円台という高価格で、苦戦が伝えられていた。だが、中堅ソフトメーカー、インデックス(旧アトラス)の「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」が発売2週間で16万本を突破。つられて、PS Vita本体も売れ、一時期店頭から消える騒ぎにまでなった。

 また、歌手・松崎しげるの“黒さ”を利用したテレビCMで話題になったPS Vitaの白色バージョンも好評。まるで最近発売されたかのような盛り上がりを見せている。

 ソニー・コンピュータエンタテインメントで主に日本市場を担当する河野弘取締役は以前、PS Vitaの販売不振について、「お客さまに良質なコンテンツを提供できるかどうかが問題を解決するカギであり、ソフトメーカーさんによいコンテンツを作っていただけるよう全力をつくすのが私の使命」と語っていた。

 つまり、少々値が張っても、買いたいと思わせることができる魅力のある商品になれれば、問題解決はできるとみていたようだ。

 勢いに乗るソニーは、プレイステーション(PS)3、PS Vita、ソニータブレット、エクスペリアなどの同社製品から、地上デジタル放送と衛星デジタル(BS/110度CS)放送のテレビ視聴や録画ができるネットワークレコーダ&メディアストレージ「nasne(ナスネ)」を近日発売する。これは、100万本以上を売り上げたPS3用のレコーダーキット「トルネ」の機能アップ版で、前評判も高く、ヒットが見込まれている。

 任天堂が「脳トレ」の大ヒットでゲーム人口を拡大したように、ソニーもトルネ&ナスネのコンビでソニーファンを拡大させることができるか。PS Vitaも含めたゲームビジネスの行方が、ソニーの復権を担う一翼であることは間違いない。(石島照代)