「1938年に旧皇室(大韓帝国皇帝一族)から土地使用承諾を受けた」(淑明学院)
「土地を無償で使用することができないとの意思表示を行っており、無断占有に当たる」(韓国資産管理公社)
日本の植民地統治期の大韓帝国皇室一族との約束が現在も効力を持つのか―。
淑明女子大(ソウル市竜山区)を運営する学校法人・淑明学院はこのほど「国有地を無断占有している」として、韓国資産管理公社から73億ウォン(約5億円)の弁償金支払いを命じられたのに対し「無償使用の承認を得ている」と主張し、ソウル行政裁に命令の取り消しを求める訴訟を起こした。
淑明学院が証拠として示したのは▲日本による植民地統治期に旧皇室に関する業務を担当していた李王職長官が1938年5月20日に発行した「土地使用承諾書」(写真)▲旧皇室の財産事務総局長が1958年7月と11月に発行した「土地無償使用承諾書」-だ。文書には「学校用地として使用し、賃貸料は無償とする」「淑明女子大が設立された時点から土地使用権を付与し、今後も継続使用することを承諾する」との内容が書かれている。
訴訟の争点は▲日本の植民地統治期の土地無償使用に関する約束の有効性▲その後国家や地方自治体が無償使用を認める意思を撤回した場合に以前の権利が終了するかどうか―だ。
韓国資産管理公社は、85年に文化財管理局、92年にソウル市竜山区庁が国有財産使用料の支払いを求めており、過去の無償使用権利は終了していると主張している。
裁判所関係者は「74年前の『勅令』で訴訟を起こすのは極めて異例だ。淑明学院が勝訴すれば、大韓帝国当時の勅令や契約を証拠とし、所有権を主張する訴訟が起こされる可能性がある」と指摘した。