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「中立な市民デモ」の陥穽 - マスコミと橋下徹への回収
辺見庸が、『いま、抗暴のときに』の中で、デモについて次のように書いている。「それにしても、昨今のデモのあんなにも穏やかで秩序に従順な姿、あれは果たして何に由来するのであろうか。あたかも、犬が仰向いて腹を見せ、私どもは絶対にお上に抵抗いたしませんと表明しているようなものである。埴谷雄高は『デモについて』の中で、デモが『自己消費的な惰力』となって本来の目的性を失うことを戒めている。彼はデモの暴走について述べているのだが、このところのデモでは(中略)暴力よりはるか以前の自己消費と自己満足、小さな愉悦のようなものが鼻につく。まったく魅力がないのだ。なぜあそこまで『健全で穏和な市民』を装い、非暴力と無抵抗を誇る必要があるのか」(P.20-21)。「あんなものをデモンストレーションというのなら、私も昨年来、何度か有事法制反対の『デモ』なるものに参加し、かつてとの様変わりに驚き、砂噛む思いどころか鳥肌が立つようなことも経験した。いったいどんな意味があるのか。動物の縫いぐるみをまとった者や看護婦に仮装した男が先頭で踊ったり、造花を道行く人に配ったり、喇叭や太鼓を打ち鳴らしたりという『デモ』もあった。あれが今風なのだといわれても私にはわけがわからない。示威行進のはずなのに、怒りの表現も抗議のそれもさほどではなく、なぜだか奇妙な陽気さを衒う、半端な祭りか仮装行列のようなおもむきのものが少なくなかった」(P.18)。
これは、2002年の有事法制と2003年の小泉政権によるイラクへの自衛隊派遣があったときのデモについて書かれたものだ。10年前の論考である。現在の官邸前デモについて、辺見庸も注目して観察しているに違いないし、あるいはネット上での議論も目にする機会があるかもしれないが、果たしてどのような言葉を与えることだろう。10年経ち、デモの中身は、より辺見庸の言う傾向を強くしているのは確かで、秩序に従順な性格を甚だしくしている。今回の官邸前デモは、主催者自らがデモについてTwitterで多くを語り、それについて賛否両論が上がり、賑やかな議論となって、「官邸前デモの思想の真髄」みたいなものが鮮明に浮かび上がっている。そこでは、「秩序への従順さ」は目的意識的に志向されるところとなっていて、10年前よりも過激に強烈に追求される価値となっていると言えよう。デモの現場で警察の誘導と指示に従うことがデモの至上命題とされ、繰り返し主催者からその訓示が与えられ、現場で警官と揉めている者には周囲が注意するよう指導がされている。さらには、日の丸の旗の携帯が積極奨励されている。デモを規制する警察が政府側のインターフェースであり、警察とは原発推進する政府の一機関であり、野田佳彦の代わりにデモ隊に応対している政府職員だが、警察を敵視するなという規律が、このデモの重要な思想となり態度となっている事実は、誰も否定し得ないところだろう。
官邸前デモの主催者が、この辺見庸の文章を読めば、即座に嘲りと侮蔑を含んだ口調で、「ロートル左翼」のレッテル攻撃の機関銃を乱射し、獰猛に噛みついて否定するに違いない。主催者が説明する官邸前デモの「理念」というのは、反原発の政策主張よりも、60年代や70年代の左翼勢力が行ったデモ形式を根絶するという動機や契機の方が強いのだ。その意味では、辺見庸が嘆息した10年前のデモも、同じ要素と企図を内在させたデモであり、その実験と模索であり、10年経って官邸前デモで確立されたものの原初的な姿だったと言えるだろう。官邸前デモの主催者が熱心に語るのは、脱原発の理論ではなくて脱左翼の提唱であり、左翼の歴史像への憎悪と排撃である。従来のデモが失敗だったのは、それを左翼が担っていたからだという信念が根底にある。したがって、左翼色を限りなく薄め、右翼色を濃くして、現在の日本人の平均的なイデオロギー成分と調和する濃度に調整すれば、デモは国民的支持を得られ、原発停止の政治状況まで持って行けるだろうという戦術的な思惑と打算がある。主催者が言う「敷居を低くする」というのはそういう意味だ。私が、官邸前デモについて、次第にお祭りイベントの様相を濃くし、政府側にとってのガス抜き行事になっていると危惧するのは、やはり、デモについて辺見庸と同じ感性と認識を持っているからだろう。デモは示威であり、抗議行動である。沖縄の県民集会こそがデモだ。
このところ、マスコミが官邸前デモを積極的に評価する言葉を言うようになった。この政治について、意味の二重性を正確に看取している者がどれだけいるか気になる。官邸前デモをマスコミが認知し市民権を与えたことは、われわれが要求し続け、攻略を図ってきた目標であり、すなわち一つの陣地の制圧であり、政治的にプラスの成果の獲得である。それは、6/29の鳥越俊太郎の言葉に代表されるもので、「このデモは組織の動員ではなく市民の自発的デモだ」という規定だ。このフレーズが口伝いにマスコミ論者に言われ、概念として確立し、官邸前デモがプラスシンボルの表象となり、中立の政治的存在となり、視聴者一般も支持が促される対象となった。しかし、注意しなくてはいけないのは、ここからマスコミが官邸前デモの運動をグリップし、自在にコントロールできる操縦桿も握ったということだ。官邸前デモは行儀のいい無色透明な市民運動でなくてはならず、常にマスコミが支持できる優等生でなくてはならない。マスコミにとって自家薬籠中のものでなくてはならない。そうなると、マスコミからの官邸前デモへの期待や思惑が、今後は逆に一人歩きする事態になる。マスコミは、今後、官邸前デモの左翼排除の要素を最大眼利用するはずで、官邸前デモの政策主張を右に寄せる工作を仕掛けることだろう。つまり、「彼ら(主催者)の要求は社民や共産と同じではない」と言い、政策のラディカリズムを打ち消そうとするに違いない。
実際のところ、現在の主催者の政策主張は、全基即廃炉であり、社民や共産よりもラディカルだ。原発政策に限って言えば極左の集団である。しかし、全基即廃炉を掲げる政党はなく、政策が政治(永田町)の場に持ち込まれれば、自民、民主、公明、維新、生活、社民、共産の議論の中で妥協点が求められる展開になる。マスコミはここを衝いてくるはずで、官邸前デモの行儀のよさを政策主張にも求めてくるだろう。君たちは左翼ではなく中立なのだから、政策も中立の落としどころを選んでいいじゃないかと。落としどころとは、具体的には橋下徹の維新である。橋下徹が、仮に「20年で脱原発」を公約してきたとき、官邸前デモの主催者はどう反応するだろうか。いずれにせよ、原発停止は国会を通じて政策実現するしかなく、たとえ霞ヶ関の歩道に10万人の行列を作っても、20万人の行列を作っても、政権と官僚にとっては週に一度の騒音と行列でしかない。週に一度のデモを粘り強くしている間に、総選挙があり、原発政策の民意はそこで決せられる。10万人の官邸前デモの「全基即時廃炉」よりも、総選挙で決まった民意の方が重い。となると、当然、官邸前デモも、選挙での原発論議に関与せざるを得ず、政党に働きかけざるを得ず、各党の公約が並べられた中での比較と選択という形にならざるを得ない。おそらく、政策的には、主催者の主張に最も近い公約を並べるのは社民と共産で、遠いのが民主と自民だ。維新と生活が中間に来る。
果たして、主催者はどの政党への投票を呼びかけるだろう。狡猾な橋下徹のことだから、原発政策については、小沢新党よりもラディカルな中身を掲げてくる可能性は十分にある。朝令暮改の嘘に決まっている公約でも、マスコミを使って尤もらしく偽装し、粉飾し、またぞろ有権者を騙してくるだろう。選挙本番になれば、政権選択の興奮と熱気と共に、嘘が嘘だと見抜けない状況をマスコミが扇動してしまう。官邸前主催者はシングルイシューの原理主義であり、また徹底した反左翼主義者だから、たとえ橋下徹が改憲や集団的自衛権を持ち出しても、ラディカルな原発ゼロを掲げれば、シングルイシューのみで選択と判断をするはずだ。社民や共産は数的に政策を実現できる可能性がない。橋下維新は過半数の可能性がある。
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thessalonike5
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2012-07-20 23:30
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