「父親が加害生徒３人告訴　「罰を受け謝罪してほしい」　大津の中２自殺　６つの罪で」の記事詳細：イザ！

　大津市で昨年１０月、市立中学２年の男子生徒＝当時（１３）＝が飛び降り自殺した問題で、自殺した生徒の父親（４７）が７月１８日、暴行や恐喝、強要など６つの罪で、元同級生３人を滋賀県警大津署に刑事告訴し、受理された。遺族の代理人弁護士によると、父親は告訴した理由を「死んだ息子のためにできることは全てやりたい」と説明。学校が実施した全校生徒アンケートの記述内容や遺族が提出した資料などを基に、犯罪行為を把握するよう訴えた。

　滋賀県警は既に、昨年９月の体育大会で同級生３人が男子生徒の両手を鉢巻きで縛り、口に粘着テープを貼ったとして、暴行容疑で学校と市教育委員会を家宅捜索。押収した教員の日記などの分析を進めているほか、教員や在校生らからも事情を聴き、８月末にも立件の可否を判断する。

　父親は生徒の自殺後、昨年１０月に２回、１２月に１回の計３回、大津署を訪れて被害相談をしたが、「事実の認定に困難な部分がある」と説明され、被害届の提出には至らなかった。

　学校側が昨年１０月と１１月に実施したアンケートでは、男子生徒が元同級生３人から現金が脅し取られたり、「万引しないと殴る」と脅されたりするなどの内容もあり、県警は暴行容疑のほかに恐喝や強要容疑も視野に捜査を進めている。

関連記事

• 大津いじめ　父親が県警に刑事告訴
• 大津市が和解意向「因果関係認める可能…

記事本文の続き　また、父親は市が近く設置する外部有識者の調査委員会による調査活動について、市の職員が関与しないことや調査委のメンバーを遺族側が選ぶことなどを要望している。

　　　　　　□□□

　「これでようやく息子に報告できる」。自殺した男子生徒の父親（４７）は７月１８日、刑事告訴後に大津市内で記者会見した代理人弁護士を通じ、談話を発表した。

　午後６時すぎから始まった会見の冒頭、代理人弁護士が集まった約５０人の報道陣を前に父親の談話を読み上げた。

　「事実が解明され、（元同級生の）少年には罰を受け、謝罪してほしい。しっかりと更正し、立ち直ってくれるよう望む。少年が更正できるよう捜査には協力したい」

　県警が暴行容疑で家宅捜索した後に刑事告訴したことについて、弁護士は「現段階でなし得ることはすべてしたいとの父親の思いが、このタイミングでの告訴になった。告訴事実が極めて広範囲にわたり、異例の告訴といえる」と説明した。

　一方、自殺した生徒の両親が大津市や元同級生側を訴えた民事訴訟では、市が和解に向けた意向を１７日の第２回口頭弁論で表明。近く外部調査委員会を立ち上げ、いじめと自殺の因果関係について再調査することを決めているが、父親は「若干の不信感を抱いている」としており、捜査機関による全容解明を望んでいるという。

　（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　　　　　　　◇

　≪少ない告訴　警察の消極姿勢要因か≫

　全国の学校でのいじめは文部科学省によると年間７万件以上に上るが、告訴などを受けて事件化されるのはごくわずかだ。いじめ被害の深刻化に比べ、警察による真相究明に至らない背景について、専門家は「被害者側が狭いコミュニティー内で声を上げにくいことや警察の消極姿勢があるのでは」と指摘している。

　文科省の「問題行動調査」によると２０１０年度のいじめ認知件数は７万７６３０件。警察庁の１０年中のまとめでは、いじめを発端に被害届や告訴を受けて刑事事件化されたケースは全国１３３件しかない。

　東京弁護士会子どもの人権救済センター事務局次長の三坂彰彦弁護士は「そもそも保護者らが警察に駆け込むのは学校が不誠実で事実を教えてくれないようなケースだが、警察は『学校内での教育上の問題だから』と受け付けない場合が圧倒的だ」と指摘する。

　大津市の問題でも、学校側が最近までいじめを認めなかった中、保護者が警察に提出した被害届は３度も不受理となった。

　被害者側に加害者側が抗議することもあるといい、三坂弁護士は「地域内でバッシングを受ける恐れから、目立つ動きに踏み切れないこともある」とみている。

　（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）