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  東方愛妹悪魔 作者:ミネ
前回の続きです。
シスコン悪魔、いっぱい驚かれる 後編
振り返ってみるとそこには小さな赤い帽子のような物を頭にのせ、背中にまるで最初の俺のような翼をはやした高校生くらいの女の人がこっちを見ていた

「・・・こんにちは。どなたですか?」

「ああ、私は射命丸と申します。『文々。新聞』というものを書いています。」

彼女は丁寧な口調でそう言った。新聞屋か・・・ちょっと美鈴さんにどうするか聞いてみるか。

「すみません、この館に用ですか?でしたら・・・」

俺はこの後に「少々待っててください」と言おうとしたが彼女が遮って、

「いいえ、私が用があるのはこの館ではなく貴方、吸血鬼の先祖である成田高峰さんにです。」

微笑みながらそう言ってきた。俺はその時、氷の状態の分子以上にフリーズしていた。おそらく誰が見てもただの像にしか見えなかっただろう。

「あら?高峰さん?おーい?」

彼女が話し掛けたり揺さぶるがピクリとも動けない俺。

「・・・なんで・・・その事を・・・?」

何とか口を動かすことは出来たが、体はまだ動かせないようだ。

「ああ、貴方のことですか?それなら昨日の昼くらいに、その館の中に居る妖精さんから聞きましたよ。」

俺はメイド妖精達に注意をしたのが夜であったのを思いだし、動くようになった手で額を抑えた。新聞記者にこんなことが知られるとたちまち記事にされ、下手するとレミィ達から紅魔館から追い出されるかもしれないと思ったからだ。

「・・・それで、何の用ですか?」

俺は諦め気味に聞いてみた。

「貴方のことを記事にしようと思いまして・・・」

その言葉で俺は天を仰いだ。ああ、明日からどこで暮らそうか・・・いっそのこと暴れに暴れまくってやろうか・・・

しかし射命丸さんは俺の死んだ魚のような目を見てこう続けた。

「・・・ですが、貴方が希望するなら貴方の住んでいる場所、姿は非公開で記事にしましょうか?」

俺はその言葉に一瞬で反応して、射命丸さんに詰め寄った。

「本当ですか!?」

「え、ええ、勿論です。但し、ちゃんと取材に応じてくれたらですけどね」

「分かりました。受けましょう」

俺は応じてくれたのくの辺りで即答した。これで即答しない奴がどこに居る。

「じゃあ早速・・・と、いきたいところですが、ここだと聞かれる恐れがあるので、付いてきてください。」

もう俺をフリーズさせた時点で遅いのではないかと思ったが、「もう記者に知られた時点で遅いんだ。もう・・・」と思い込むことにして、射命丸さんに付いていった

そしてある小屋に着き、中に入ってみると大量の書類が積み上げられていた。

「小汚ないですが、ここなら誰にも聞かれません。」

「そうですか・・・」

「それではまず始めに、貴方がこの幻想郷に来た経路を教えて頂けますか?」

そう言いながら射命丸さんはメモ帳と思われるものとペンを取り出した。

「いや、来たというよりも連れて来られたっていうのが正しいかな?」

「ふむふむ」

そうして、最初はあまり話すつもりはなかったが、いつの間にか射命丸さんの話術にのってしまい、フラン達に話したような内容まで言ってしまった。そのため、射命丸さんは俺からの答えが帰ってくるたびに驚いていた。そうしてずっと5時間くらい話をしていて、気が付けば昼を通り越し、3時になっていた。

「あらら。話をしていたらもう昼過ぎじゃないですか?」

「なに!?そんな時間経ってたか?」

「どうします?こちらが聞きたいことは全部聞きましたので、お帰りになられますか?」

射命丸さんが俺にもう帰るか聞いてきたが、俺はどうせ外に来たのだから、やりたいことを射命丸さんに尋ねた。

「いや、帰る前にこの幻想郷を案内してくれないか?大きな所だけでいいから。」

「え!?大きな所だけでも、夜になっちゃいますよ?」

「いや、問題ない。」

「・・・じゃあ、行きましょうか。」

今度はこの幻想郷というところを案内してもらうことにした。半日でまわりきれるということは結構広くないのかな?

そうして、俺のいた魔法の森。参拝客があまり来ず、巫女さんの賽銭(収入)がほとんどないという、 博麗神社。・・・今度お参りしてあげようかな。金は持ってないが。そして、紅魔館の前にある大きな湖、霧の湖。一歩足を踏み入れると迷ってしまう、迷いの竹林。射命丸さんの住んでいる、妖怪の山。を案内してもらい、最後に人間ね住む里を案内してもらった。

「ここが、人間達の住む里です。」

「・・・そうだ、射命丸さん。案内はここまででいいです。ちょっとこの里でやりたいことがあるので。」

俺はレミィ達に人里があると教えてくれた時からそれをしようと考えていた。

「え?いいんですか?それにやることとは?」

「いいからいいから。案内してくれてありがとうね。」

俺は若干、追い払うようにして人里の手前の林にこっそりと降りた。・・・姿は見られてないよな?

俺は美鈴さんに妖力弾の撃ち方を教わる前に教えてもらった『妖力の消し方』というものをやってみた。

ええと、たしか体の中のフワフワしたものを体の奥にしまうような感じ・・・って言ってたっけ?

俺は人間から吸血鬼になったときから体に異変があるのは気付いていたからその妖力は簡単に見つけることが出来た

「よし・・・出来た。さぁ、行きますか。」

そして俺は里へと繰り出した。

里では俺の着ている珍しい服のせいなのか、通る人通る人に変な目で見られ、更に他の視線を感じながらも引き寄せられるように刃物が売っている店に来た。

「いらっしゃい。どんなものを探しで?」

「ああ、護身用に刀を一振りね・・・」

そう、俺はレミィ達に人間の住んでいるこの里のことを聞いた時から考えていた事。俺の能力を付与させるための刀を探しに来たのだ。護身用と言ったのは、俺みたいな若い人が刀を買うと売ってくれない気がしたからだ。・・・買うというか、譲って貰う気満々で来たが。

「護身用か・・・じゃあこれはどうだ?」

そう言って刃物屋の店主と思われるおやじが一振りの刀を投げ渡して来た。

「うーん・・・しっくりこないなぁ」

俺は刀身を鞘から抜き、見てみたが、どうにも俺の本能(?)がこれは合わないと言ってきた。

「そうか・・・じゃあ次はこれだ。」

と、10分くらい店の中でこのようなやり取りをしていたが、ふと目に入った刀を見て言った。

「あれは売り物じゃないのか?」

「うん?ああ・・・あれはだな、俺の親父が伝説の化け物を素材にして作ったという妖刀で・・・」

「へぇー・・・」

おやじがそう話してくるが俺の頭には入ってこずに、俺はその刀を手に取った。

「おいおい、話を聞け。その刀はな、親父が言うには人を選ぶらしいんだ。いままで何人かが鞘から抜こうとしたが抜け・・・」

俺はおやじがそう言っていたところで、俺は刀を抜いた。すると、俺を待ち望んでいたかのように刀から電流が空気中へ放電し、夜で暗い店内を明るくした。

「抜け・・・なかったん・・・だが・・・」

おやじは最初、俺と刀を交互に見て目を見開いていたが、そのうち考え始め、こう言った。

「その刀はやるよ。」

「いいんですか!?」

「売り物じゃないし、それに、お前以外に扱えそうな奴がいないからな。」

「ありがとうございます。大切に使いますから!・・・そうだ、この刀の名前は?」

「ああ、それはな・・・」

そして、おやじからこの刀の名前を教えて貰い、その刀を背中に背負い、おやじの店を後にした。そして、俺の高性能腕時計(百均で買った)を見てみると夜の10時であった。もうフラン達は起きている頃であろう。そのため早く帰ろうとするが、

「よし、帰るとす・・・やべぇ、暗くて方向が分からねぇ・・・どうしよう・・・」

俺は里にいてもしょうがないので、まず里から出て、翼を広げ月の浮いている空に舞い上がった。ちなみに人里では妖力を隠していたためか、翼が消えていた。

「えーっと?確か妖怪の山の麓だよな・・・って真っ暗で見えねぇ!!」

俺は吸血鬼のだから夜でも見えるはずなのだが、まだ脳が吸血鬼の体に完全に適合してないのか、少し先10m先は分かるが、それより先は全く見えないという状況である。

「くそっ、高く飛ぶのは自殺行為だな。」

そして俺は木と同じくらいの高度で飛び、迷いに迷って4時間たち、へとへとの状態で紅魔館の門の前に墜落した。

落ちてきた俺を見て、門番の妖精は驚き、10人がかりで俺をレミィ達の所へ運んでいった。その間意識はあったが、慣れない長時間のフライトと、睡眠不足が重なり、動けない状態であった。

そしてレミィ達の居る部屋に運ばれた途端、質問攻めにあった。

「あの後、どこ行ってたんですか?」

「大丈夫かしら?」

「今までどこをほっつき歩いてたのよ!」

「高峰君!死んじゃやだよー!グスン」

美鈴さんにあの後の事を聞かれ、パチュリーさんに体の心配をされ、レミィにどこに居たか聞かれ、フランは・・・俺はまだ死なん。あと、なんで涙目なんだ?

レミィの方を見てみるとレミィはフランの様子を見て驚いていた。

「(フランが他人のために涙を流すなんて・・・見たことないわ・・・もしかすると・・・)」

「俺はまだ死なん・・・」

そう言って俺は力尽きた。正確には眠りに落ちた。






その後、フランが俺が死んだ死んだと泣いていたそうだ。
フランドールが・・・フラグです。

フランドールの口調が変?すみません。苦手なんです。

あと、フランドール とレミリアの出番が少ないので次回、(また前編と後編に別れるかも?)書きたいと思います。


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