シスコン、紅魔館にて
扉が開かれなかが見えてきた。そこには机の上にティーセットを置き、優雅に読書をしている、青髪で、フランとは違い、赤ではなく薄いピンク色の上着を着た少女がいた。
「・・・貴方は誰かしら?」
フランと一緒に入ってきている俺を見付けるなりいきなり凄い目線で睨んでくる。うう、怖い・・・
「お姉さま、この人は私の友達だよ?あと、ちょっと話があるから美鈴にパチェを呼びにいかせたわ」
フランが俺と青髪の少女との間の空気が悪いのに気付き、フォローを入れてくれた
「そう・・・じゃあフラン。その男の名前は?」
「自己紹介くらい自分でするよ」
「貴方に聞いてない」
と、またここで青髪の少女と俺との間の空気が悪くなっていった
「・・・えと、お姉さま?彼は成田高峰っていう名前で、さっき抜け出した時に知り合った・・・あ、しまっ」
とフランは言ってはいけないことを言ってしまったように、口をおさえた。・・・逃げ出して来たんだもんね。しょうがない
「・・・抜け出したですって?」
青髪の少女は今度はフランに怒りの目線を向ける。一方フランは
「♪~」
そっぽを向いて口笛を吹いていた。・・・自殺行為だというのに・・・
「すみませんが、成田さん?しばらく扉の前で待っていてもらえますか?」
「はぁ、分かりました」
そして俺が扉から出て10分後くらい経つまで、廊下でずっと自分の翼を撫でまくっていた。結構柔らかかった。そして10分後にフランが部屋に招き入れた。すると
「失礼し・・・ぬぉっ!!」
部屋がメチャクチャになっていて部屋の中央に先ほどの青髪の少女が部屋の中央で倒れていた
「大丈夫かっ!?」
青髪の少女が起き上がろうとしていたので、俺は走って駆けつけて手を貸そうとした。しかし、少女はその手をはらい
「平気よっ!」
「お姉さまは私に戦いでは勝てないもんねー」
青髪の少女がフランを睨むが、フランがそこへ挑発的な言葉を放つ
「フラン・・・!」
青髪の少女とフランとの間でまたなにかが起こりそうな雰囲気だった。何をやりあったかは知らないが、これ以上やると部屋が壊れそうなので俺は自分の能力を使うことにした
「『揺れろ』」
俺は壁に手を当て念じた。今度は地震のような広範囲ではなくこの部屋だけを揺らした
「「!?」」
結構大きく揺らしたので二人ともしゃがんでバランスをとるので精一杯のようだった。物は既に殆ど倒れているので、二人が下敷きになる恐れはない。
「『止まれ』」
俺がもう一度念じると揺れはほんの3秒程度でおさまった
「はいはい、そこでストップ」
俺がまだしゃがんでいる二人のあいだに入って二人が再びなにかをしでかさないようにした
「また喧嘩してちゃ話もなにも進まないよ?」
青髪の少女よく見ると俺を見て茫然としている。フランのほうは既に立ち上がって俺の隣にいた
「・・・なんなの?あなたは?」
青髪の少女はまだしゃがみながら俺を見ていた。腰が抜けたのだろうか?
「俺の事を聞く前にまず自分は名乗ったらどうかな?」
「・・・そうね」
すると青髪の少女は立ち上がって、軽く埃を払ってから
「私はレミリアスカーレット。この館、紅魔館の当主であり、そこのフランドールスカーレットの姉よ。」
青髪の少女、レミリアさんはスカートをつまみ、優雅に一礼した。ふむ、これがTHE・お嬢様ってやつか。
「それで、さっきの揺れといい、貴方は何者なのかしら?」
「俺か?俺の事は美鈴さんと・・・」
「!?高峰君!翼翼!」
俺が喋ろうとしたところにフランが止める。どうやら俺の翼に何かあったようだ。そこで振り返ってみたところ
「ん?俺の翼がどうした・・・って、え!?」
さっきまで真っ黒で、羽のはえていた翼からどんどん羽が抜け落ちていき、また、どんどん白く、固くなっていった
「なんだこれ!?」
俺だけでなくフランやレミリアさんまで驚いていた
「コンコン 美鈴です。パチュリー様をお呼びしました」
するとそこへ扉から先ほどの門番の女性、美鈴さんの声が聞こえた。どうやら人を連れてきたようだ。
「美鈴!?ちょっとまっ・・・」
「レミィ、入るわね」
と、レミリアさんが入るのを止めたが、美鈴さんが連れてきた女性が勝手に扉を開けた
「何の用かしら?フラ・・・っ!!」
その入ってきた女性はフランやレミリアさんのような変わった帽子を被っていて、紫色の髪をリボンでとめていた少女で、俺の変わっていく翼を見るなり、持っていた本を落として固まってしまった
「パチェ?大丈夫?」
とフランが話しかけるがまだ固まったままでいる少女
「パチェってば!」
「・・・はっ」
レミリアが強く話しかけると少女は我にかえり、俺に鋭い目を向けた
「・・・なんで貴方のような人がいるの?」
「はい?」
少女は俺に強くそう言い放ったが俺は訳が分からなかった。しかし、次に言った言葉でようやく分かった
「・・・その翼は吸血鬼のα(アルファ)であるドラキュラ、カーミラ、そして、ノスフェラトゥの三人中でも一番身体能力に長けているノスフェラトゥの翼・・・!」
「「「「ええ!?」」」」
俺を含めたフラン、レミリアさん、美鈴さんの4人が驚く
「・・・αとは何だ?」
俺はまずαについて教えて貰うことにした。ドラキュラの名前が出てきて驚いてしまったが、実際意味がわからん
「・・・貴方、自分のことも知らないの?まぁいいわ。αというのは全ての化け物の中で一番最初に生まれた者」
「えっ、てことは高峰君は・・・」
「そう、フラン、レミィ、そして今世界に存在する吸血鬼の祖先よ」
「この人が・・・お嬢様の先祖!?」
「・・・高峰君が私の先祖!?」
「・・・これは偶然?いや運命なのかしらね・・・」
三人が俺に対して様々な事を口にする。一人は自分の仕えている者の先祖をみて驚く者。一人は自らの先祖を見て、混乱している者。一人はなにか独り言の様なことを口にして微笑んでいる者。神は何て事をしてくれんだ。
「・・・あの?もしも~し?」
俺が話し掛けたが一人はいまだに驚いていて、俺とフラン姉妹を交互に見ていて、一人は俺を見たり俯いたりして混乱している様子。唯一気付いてくれそうなレミリアはまだ不敵に笑っていた
「・・・もしも~し?」
「ん?どうしたかしら?成田さん・・・いや、成田様とお呼びすれば良いかしら?」
レミリアさんは俺の2回目の呼び掛けで気付いてくれ、こう俺に聞いた
「いやいや、俺もさっきまで知らなかったんだし、普通に高峰でいいよ」
「いえ、それでは私が恐れ多い・・・では、私のことはレミィとお呼びください」
レミリアさん・・・レミィはそう俺に言った。俺はまだなにか違和感があるのでもうひとつ注文をした
「あ、あと、敬語を使うのも止めてくれる?こっちが気恥ずかしい・・・」
俺は素直にレミィにそう言った
「分かったわ。」
「・・・私の事忘れてない?」
と、少女が話し掛けてきた。ここいらで名前を聞いておこう
「あ、ねぇ、君は何て名前だい?」
「私?私はパチュリーノーレッジ。魔法使いよ。いつもはこの館の図書館で本を読んでるわ。」
彼女、パチュリーさんはそう答えた。いつも本を読んでるって・・・ニート?いや、引きこもり?
「貴方、なにか失礼な事を考えてない?」
ぬおっ
「いや、なにも・・・それより皆さん集まったようなので、まず僕の事を話しましょう・・・」
「ええ、そうしてくれる?」
そしてフランと美鈴さんを正気に戻してから、無用心かもしれないが前の世界の事、人間だったこと、転生させられて来たこと、能力を試してたら半端ない地震になってしまったことを話した。話している間、黙って頷いたり、驚いたり、殺気を出していた。ちなみに美鈴さんは話し始める前に自己紹介をしてくれた
「・・・そういうことだったのね・・・」
「・・・貴方の仕業だったのね・・・」
話し終えた矢先、パチュリーさんが溜め込んでいた殺気を放ってきた。
「まぁまぁパチェ、落ち着いて。高峰さんだってわざとやった訳じゃないんだし」
レミィが咄嗟にフォローをいれてくれる。
「それに、ノスフェラトゥ・・・かしら?身体能力が高いなら手伝ってもらえば良いじゃない」
「それも、そうね・・・」
パチュリーさんが出していた殺気をおさめてくれた。・・・完全には消え去っていないようだが
「それで、高峰君はこのあといくあてでもあるの?」
フランが俺が今一番悩んでいることを聞いてくれた。
「そうなんだよ・・・これからどうするか・・・」
この館に居候させて下さいとは言えないし・・・
「この館に住めば良いじゃない」
いや、この館の主であるレミィ本人から言ってきてくれた
「・・・良いのか?邪魔になるかもしれないぞ?」
「別にいいわよ。パチェの図書館の片付けがすぐにできるし、暇があれば、私や美鈴、フランに戦い方とかを教えてもらえるわよ?一石二鳥じゃない。」
図書館の手伝いは俺に得があるかは知らないが、住む場所、この世界は危険だそうでなので、戦い方も教えてもらえるのは得だな。
「・・・分かった。今日からよろしく頼むな。」
「うん、よろしくね!・・・そうだ、高峰君。」
「うん?」
フランが急に暗い顔をして俺に言った
「地下室には入らないでね?」
フランがこれを言ったあとにレミリアやパチュリーさん、美鈴さんが表情を曇らせた気がした。なので深くとらえずにそのまま言われた通りにすることにした。
「分かった。」
そして、俺の居候生活が始まった
この時、たまたま開かれた扉を通った妖精が中の様子を聞いていて、気絶していたのはまったくの余談である
ドラキュラ、カーミラ、ノスフェラトゥが三大元祖や、α=一番最初の怪物というのは自分の設定と海外ドラマから拝借したものです。
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