“いじめ”自殺 警察が同級生に話聞く7月18日 15時54分
大津市で中学2年生の男子生徒が自殺した問題で、警察がいじめに関わったとされる同級生3人の側から話を聞いていることが捜査関係者への取材で分かりました。
このうち、少なくとも2人はいじめを否定しているということです。
この問題で、滋賀県警察本部は、男子生徒が自殺するおよそ2週間前の学校の体育大会で同級生から暴行を受けた疑いで、学校などを捜索するとともに、教師や大津市の教育委員会の職員から任意で聞き取りを行って捜査を進めています。
さらに、警察は、いじめに関わったとされる3人の同級生について、本人や家族から話を聞いていることが分かりました。
捜査関係者によりますと、警察は捜査などによって3人が動揺しないよう心理的なケアも併せて行っていて、そのなかで3人のうち少なくとも2人はいじめを否定しているということです。
同級生側は、遺族が賠償を求めた民事裁判でも「いじめではなく遊びの範囲内だ」と主張して遺族の訴えを退けるよう求めています。
警察は今後も、暴行を目撃したとされる教師や、ほかの生徒らからも任意での聞き取りを行い、立件できるかどうか慎重に判断することにしています。
2度にわたるアンケート
去年10月、大津市で中学2年生の男子生徒が自宅のマンションから飛び降りて自殺しました。
中学校は、自殺の背景事情などを知ろうと、直後に全校生徒を対象にアンケートを行い、この中で16人の生徒が「男子生徒が同級生に自殺の練習をさせられていた」などと回答しました。
大津市の教育委員会は、男子生徒が複数の同級生から繰り返し殴られていたなどとして、いじめを受けていたことを認めました。
しかし「いじめが原因で自殺したとは判断できない」として、それ以上の詳しい調査を打ち切りました。
遺族の要請を受けて、中学校は去年11月、2回目のアンケートをしました。
この中では「自殺の練習」のほかに、男子生徒の同級生などが「葬式ごっこをしていた」といった回答が寄せられました。
ところが、教育委員会はこうした回答があることに気づかず、事実かどうかの確認もしていませんでした。
批判を受けて、教育委員会は生徒などに聞き取りをしましたが、「自殺の練習や葬式ごっこを、直接見た生徒はおらず、いじめと自殺に関係があるとは判断できない」と同じ主張を繰り返しました。
市長“責任取り和解したい”
一方、大津市の越直美市長は「教育委員会の調査は不十分で信用できない。私はいじめがあったから亡くなったんだろうと思っている。市として責任を取り、遺族と和解したい」と述べ、教育委員会への不信をあらわにしました。
この問題を巡っては、遺族が「学校でのいじめが原因で自殺した」として、大津市と同級生らに合わせて7700万円余りの賠償を求める裁判を起こしています。
17日、大津地方裁判所で行われた2回目の審理で、大津市はそれまでの争う姿勢を一転させ「今後、市としていじめと自殺の因果関係を認める可能性が高い」と和解に応じる用意があることを明らかにしました。
警察 目撃生徒の聞き取りも
一方、警察は、男子生徒が自殺するおよそ2週間前の学校の体育大会で、3人の同級生から暴行を受けた疑いで、今月11日、学校などに対する異例の捜索を行いました。
教師や大津市の教育委員会の職員から任意での聞き取りを進めるともに、目撃した生徒らからも近く聞き取りを行うなどして立件できるかどうか慎重に判断することにしています。
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