赤穂市の中学生らのグループによる集団暴行事件。複数の生徒が逮捕される事態に、夏休み前の学校現場では動揺が広がった。全国でいじめが問題になる中で、一部のメンバーが別の男児に繰り返し暴行を加える様子がインターネット上で公開されていたことも判明し、市教育委員会幹部は「中学生が逮捕されたことは残念。教育者として学校としてもっと何かできたのでないか」と苦渋の表情を浮かべた。
市教委によると、問題を把握したのは17日。東京や長崎などの動画の閲覧者3人から「暴行の動画がアップされているが、把握しているのか」と学校側に電話があり、急きょ動画を確認するとともに、警察にも連絡したという。
学校側の調査に対し、動画に映っていた中学生は「ゲームのつもりだった」などと話したが、暴行を受けた小学生は「7月から『1分間マッチ』として4、5回、同じようなことをさせられていた」と話したという。
市教委によると、逮捕された中学生3人はこれまでに深夜徘徊や喫煙などの不良行為で指導を受けたことがあるといい、市教委は「欠席が目立ち、学校とは疎遠だったと報告を受けている」と説明。一方、逮捕された高校生はこの中学校周辺で度々目撃されていたという。
市教委は18日夜、市内の全学校園の校園長を集めて経緯を説明した。被害児童、加害生徒のいる小中学校にはPTA役員らに事情を話したという。
平井正彦教育次長は「校外で起きたことではあるが、児童、生徒が関わっていたことで関係ないと言えない。あらためて暴力やいじめをしてはいけないと注意喚起したい」と話した。
兵庫県教育委員会は17日、赤穂市教委から中学生逮捕の報告を受け、18日には小学生に対する暴行についても連絡があった。県教委は詳しい報告を求めるとともに、中学生が通っている学校に対し、警察や校長OBによる学校支援チームを派遣し、事件への対応をアドバイスすることを決めた。
(2012/07/19 12:46)
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