社説:新在留管理制度 人道への配慮が必要だ
毎日新聞 2012年07月17日 02時30分
正規滞在が望ましいのは言うまでもないが、実習生などの名目で「単純労働者」も受け入れてきたひずみがこうした実態に反映されているのも現実だ。正規、非正規を問わず、外国人登録を基に、これまで自治体が予防接種や義務教育、母子手帳交付といった施策を実施してきたのは、人道的見地からも当然だろう。
政府は今後もこういった行政サービスは変わらないとの見解を国会答弁などで示す。だが、非正規滞在者は今後、公的な身分証がなくなる。市民団体などが今年初め、自治体に行ったアンケートでは、施策によっては「(非正規滞在者に)対応しない」との回答も少なくなかった。
まず、政府は自治体側にサービス継続の趣旨をもっと徹底すべきだ。また、自治体側も「在留カード」を持たぬ外国人を把握する独自のネットワーク作りが急がれる。
施行された改正入管法では、住所の登録義務が強化され、住所変更の無届け状態が90日を超えると、在留資格が取り消される規定もある。だが、広報が十分でなく、自覚がないまま違法状態になる人が出るのでは、との指摘も出ている。入管当局は個々の状況も踏まえ、よく事情を聴いて柔軟に対応してもらいたい。