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政治
【主張】野田首相 ピンチをチャンスにせよ
民主党から離党者が相次ぎ、野田佳彦首相の政権運営は不安定さを増しているようにみえる。
だが、ピンチはチャンスだ。首相にとっては国難を打開する千載一遇の好機到来である。
離党の理由は、消費税増税や原発再稼働への反対だが、首相はいずれのテーマも日本の社会を成り立たせ、国民生活を守るために必要と判断した。
これからの課題は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加問題に加え、高齢化で膨張し続ける年金、医療、介護の費用抑制などだ。首相は、党内の異論に躊躇(ちゅうちょ)することなく、懸案処理に突き進むことで活路を開くべきだ。
消費税増税法案への造反後も党にとどまった鳩山由紀夫元首相らの勢力には、さらなる「離党予備軍」も存在するとされている。党内融和を最優先してきた輿石東幹事長は「危機的状況を共有しないと政権が崩壊する」と警戒感を強めている。
衆院でさらに離党者が15人規模に上れば、民主党は過半数を割り込み、参院でも、あと3人の離党で第1会派から転落する。離党者の増加で政権運営が極めて困難になることは間違いない。
だからといって、増税反対派から自民、公明両党とまとめた3党合意の見直しを要求され、首相がそれに応じるようなことがあれば、3党の枠組みは壊れ、関連法案の成立は望めなくなる。
首相が参院一体改革特別委員会で「一体改革法案が通れば閣議決定の効力は消える」と答弁し、民主党マニフェスト(政権公約)に掲げた後期高齢者医療制度廃止法案の提出などを断念する意向を示したのは当然だ。ばらまき政策の撤回など、政策の誤りを認めて転換を急がなければならない。
自民党は民主党分裂を批判し、首相に謝罪を求めることに多くの時間を割いているが、そうした姿勢が国民の理解を得られているとは思えない。
首相が検討している集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更は、自民党政権からの宿題だ。その決断を自民党も後押しする必要があるだろう。
国連平和維持活動(PKO)で、自衛隊が宿営地外で襲われた国際機関職員らを助けに行く「駆けつけ警護」を行えるようにするPKO協力法改正でも、協力すべきである。
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