名古屋市で2007年8月、会社員磯谷利恵さん(当時31)が男3人に拉致、殺害された「闇サイト殺人事件」で、最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、強盗殺人などの罪に問われた堀慶末(よしとも)被告(37)について死刑を求めた検察側の上告を棄却する決定をした。11日付。一審の死刑判決を破棄し、無期懲役とした二審判決が確定する。
この事件は、犯罪に関する情報などを交換するインターネット上の「闇サイト」を通じ、面識のなかった3人が起こしたことで注目された。神田司死刑囚(41)の死刑、川岸健治受刑者(45)の無期懲役はすでに確定。遺族が3人の極刑を強く望み、検察側は全員に死刑を求刑したが、今回の堀被告に対する決定により、死刑1人、無期懲役2人で刑事裁判が終結することになった。
決定で第二小法廷は、3人がネットを通じて知り合ったことを過度に強調すべきではない▽犯行を主導した神田死刑囚と責任を同等にみることはできない▽当初から残虐な殺害方法を計画したわけではない――などとした二審・名古屋高裁判決(11年4月)の判断を踏襲。被害者が1人である事情にも触れた上で、「無期懲役が甚だしく不当とは言えない」と述べた。