闇サイト殺人:語り続ける被害者の母 判例重視に疑問
毎日新聞 2012年06月24日 02時01分(最終更新 06月24日 02時25分)
名城大での講演で富美子さんは「裁判所は判例に固執して殺害された被害者の数にこだわり、加害者の人権ばかりを重視してきた」と遺族としての思いを訴えた。
富美子さんは、利恵さんが男たちから守った貯金を充ててマンションを購入し、暮らしている。利恵さんの形見ともいえるそのマンションに、事件の証拠品となっていた利恵さんの所持品が名古屋高検から届いたのは今年1月20日だった。携帯電話や事件当時着ていた衣類など約200点。事件から4年5カ月ほどが経過していた。
利恵さんが受けた苦しみや恐怖を思うと、はじめは遺品が置かれた部屋の明かりをつけることができなかった。暗闇の中で触ると、衣服は血のりで固まり、靴はボロボロになっているのが手触りで分かった。
その後、「何か一つでもいい。自分が知らなかった娘の一面がないだろうか」と、デジタルカメラや携帯電話など返却された品を丹念に調べた。所持品の一つの腕時計は動き続けていた。利恵さんがいつも身につけ、事件の際、男たちに手錠をかけられた腕にあった時計だ。