日本製鋼所室蘭製作所(村井悦夫所長)が製造した部材による世界最大級の原子炉圧力容器が17日、中国電力が建設中の島根原子力発電所3号機(松江市)に設置される。世界最大の600トン鋼塊と、最高水準の鍛造技術によって初めて誕生。日鋼室蘭の“ものづくり力”の高さを証明している。
原発の心臓部である圧力容器は胴体部分、底ぶた、上ぶたなどで構成する。同製作所はこれらの部材を600トン鋼塊から一体製造する技術を開発し、世界的な原発の大型化に対応。現在、国内58プラントのすべてと、海外20カ国165プラントで使用されている。
島根原発に設置される圧力容器は高さ約21メートル、内径約7メートル、肉厚17〜18センチ、重さ約910トン。同製作所の部材は胴体部分だけで4個、最大で1個140トンある。日立製作所グループのバブコック日立呉事業所(広島県呉市)が、上ぶたなどを含めた全部材を3年掛かりで組み立てた。
7日に呉市の工場から台船に積み込まれ、14日に島根に陸揚げ、17日に発電所に搬入する予定だ。
同製作所では「これだけ大きな部材を製造できるのは世界でうちだけ。世界最大の鋼塊製造技術と1万4千トンプレスの鍛造技術のたまもの。複雑な形の部材も溶接なしに製造できるのが強みです」と話す。
同製作所は米国や欧州、中国などの原発新設ラッシュ、原子力製品需要の高まりを受け、平成23年度までに総額800億円の大規模設備投資を実施。1万4千トンプレスの1台増設、新工場の建設などを進め、原子力用鍛鋼品生産能力を年産で現在の3倍の12ユニット分に引き上げる。
(山田晃司)
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