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山形大生死亡賠償訴訟 山形市へ抗議相次ぐ

 山形大理学部2年大久保祐映さん=当時(19)=が死亡したのは山形市消防本部が救急車を出動させなかったためだとして、母親が山形市を相手に起こした損害賠償訴訟をめぐり、一般市民からの抗議の声が市に連日寄せられている。消防本部の判断を批判する意見のほか、市議会や市民に事実関係を説明しない市川昭男市長らへの憤りの声が多いという。

 市広報課によると、13日から18日までに電話や市のホームページなどから計35件の意見が寄せられた。「仕方なかったのではないか」と消防対応に理解を示す意見が1件あったが、残りは批判的な内容だったという。
 消防本部の対応に関する意見は「なぜ救急車を出動させなかったのか」「救急車を出すのは当然だ」「市は(市民を)見殺しにするのか」と、当時の判断を疑問視する内容が中心だった。
 119番のやりとりで、消防職員が大久保さんにタクシーで病院に行けるかどうか尋ねたことを取り上げ、「担当者は明らかに(タクシーを利用するよう)誘導している」とする意見もあった。
 市は救急車を出動させなかった判断を「適切な業務の範囲内」と主張している。市側の姿勢について「人命救助が第一。どこかの教育委員会と同じ」「今できることは早急な謝罪だ」「市長の『適切な対応をした』というコメントに凍り付いた」といった厳しい指摘も相次いだ。8月24日に第1回口頭弁論が控えているとして説明を避ける市に対し「(大久保さんが)かわいそう。(内容を)詳しく聞きたい」と説明責任を問う声もあった。
 母親の訴えによると、大久保さんは2011年10月31日、山形市内の自宅から119番し救急車を要請。市消防本部通信指令課の男性職員は自力で病院に行けると判断し、救急車の出動を見送った。大久保さんは10日後に自宅で死亡しているのを発見された。

◎市川市長、記者会見で言及

 市川昭男山形市長は18日の定例記者会見で、119番をかけた山形大理学部2年大久保祐映さん=当時(19)=の声の印象を「苦しそうなのは間違いない」と述べた。ただ、救急車を出さなかった判断は「適正だった」とあらためて主張した。
 市長は、大久保さんと消防本部職員との電話のやりとりを録音した音声を聞いている。会見では「『苦しそうな人』に救急車を出さなかった判断が適正か」と質問があり、市長は「(タクシーで病院に行けると)本人の意思を確認している」などとして、「適正」との主張は変えなかった。
 市が説明責任を果たしていないと指摘される点については、「精いっぱい説明しているが、皆さんに十分な説明はやっていないと思っている」と語った。

<市長会見一問一答>

 定例記者会見での市川昭男市長と記者団の一問一答は次の通り。
 −救急車を出さなかった消防本部の判断は今も「適正」と思うか。
 市長 (119番のやりとりの)テープを聞いた上で(適正と)判断した。
 −救急要請した119番を消防本部は「問い合わせ」に分類した。
 市長 そう報告を受けている。分類の仕方は消防に聞いてほしい。
 −(119番した)大久保祐映さんの声を聞いてどう感じたか。
 市長 苦しそうなことは間違いない。ただ、一番のポイントである(一人で動けるかという)本人の意思を確認したのも事実。
 −(指令業務の)マニュアルを公開すべきではないか。
 市長 裁判に関わるので控えさせていただく。
 −裁判とは関係ない。
 市長 弁護士と相談して決めた。
 −なぜ裁判を控えていると十分な説明ができないのか。
 市長 裁判の中で考えを明らかにする。まだ弁護士と詳細を打ち合わせしていない。
 −裁判を有利に進めるための判断か。
 市長 正当な裁判をするのが義務。そうなるべく努力している。
 −説明責任を果たしていると思うか。
 市長 議会、マスコミの要望を満たしていると思っていない。話せる内容は精いっぱい説明している。市民にどう受け取られているかは分からない。皆さんに十分な説明はしてないと思っている。


2012年07月19日木曜日


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