アスカ・ブライト! 第三十六話の犯人当てクイズの解答に関する補足説明
第三十六話の最後で、読者の方にエリカ博士をさらった犯人を当てて頂く軽いクイズのような終わり方をしたのですが、伏線が微妙だったようで解答が判りにくいようでしたので説明させて頂きます。
完全ネタバレなので第三十七話を読んでからご覧下さい。
エリカ博士をさらった手段(実行犯)だけをクイズ感覚で推理して頂く事になります。
黒幕の正体や黒幕のさらった目的などはストーリーを読み進めてお楽しみください。
(伏線が広範囲に向かって散らばっています)
先に伏線を挙げると以下の通りです。
直接のヒント
1.第三十四話 マードック工房長の発言
「普段から研究に必要な材料を採取してもらったり、運搬車の護衛などはあるんだが、今はあの厄病神のせいで余計な仕事が増えてばかりだよ」
→日常的に運送業者がツァイスの街に出入りしている事が判ります。
(間接的に運送業者を描写しました)
2.第三十六話 博士の家の玄関を調べた時
ラッセル博士の家に到着したエステル達はまず周囲の様子を確かめた。
街の中にあるラッセル博士の家は足跡を追いかけるのは難しいが、家の入口を確認すると、争ったような足跡は無い。
→エリカ博士が薬で眠らされる前に目を覚ましていても運送業者相手なら油断するのかもしれません。
(伏線としては少し弱いですが)
3.第三十六話 地の文とヨシュアの説明
>しかしエリカ博士を白昼堂々と連れ去っている場面を目撃されていたらとうの昔に騒ぎになっているわけで、街の人々から有力な証言は得られなかった。
「もしかして街のみんなの目には見えていたんだけど、見えていなかったのかもしれない」
→怪しい車はもちろんの事、サーカスや軍用車、軍の警備艇も目立ってしまうので不可。
誤解答:全員ステルス化の魔法を使って連れ去った。
(これはさすがに答えとしては許されないです、推理では無くなってしまいます)
4.第三十六話最後の文章
エステルの質問にヨシュアはそう答えて、中央工房へと向かうように提案するのだった……。
→ヒント1にあるとおり、街の運搬車の出入りなどについてはマードック工房長が知っていると判ります。
4つのヒントと消去法から、運搬車を使ってエリカ博士は連れさられたが妥当な回答だと私は思います。
よって運送業者が実行犯としました。
大きな荷物にエリカ博士を隠す初歩的なトリックですが、楽しんで頂けたでしょうか?
(『空の軌跡』『ヴァルキリープロファイル』、応用版として『かまいたちの夜』などで使われているありふれた手口です)
暴走車を登場させるなど読者の方を惑わすミスリードも入れていますが、解答と確実に矛盾するような描写は入れていないつもりです。
(これは推理小説を書くに当たって基本的な原則らしいです)
私がこのように伏線を少なめにしたのも、以前LAS短編「シンジが死んじゃったのよ!」で判りやすい伏線が多すぎと感想を頂いたので、その反省からでした。
他の連載作品でもクイズのような話を書いていますので、そちらを見比べて楽しんで頂けると幸いです。
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