『橋下徹のカネと黒い人脈』(宝島NF、税別933円)が2012年6月末、発売された。筆者は、ジャーナリストで『橋下「大阪維新」の嘘』(宝島SUGOI文庫)などの著書がある一ノ宮美成氏と「グループ・K21」。
原発再稼働でなぜ反対姿勢を転じたのか
年内衆院解散説が強まる中、橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」の国政進出の動向に注目が集まっている。橋下市長の言動も、連日のようにマスコミに報じられている。
本書の表紙には、「大阪維新の会は 財界アウトサイダーとウラで手を結ぶ改革利権集団だ!」「首相に最も近い人物の紙上身体検査!」などの文字が並ぶ。橋下改革の「負」の側面について、関係者証言を交えながら描いたノンフィクション作品だ。
関西電力の大飯原発再稼働問題について、なぜ橋下市長は反対姿勢から「事実上の(限定的)容認」に転じたのか――こうした具体的なテーマを取り上げながら、財界や建設業界、同和行政、さらには「有象無象の人々」と橋下市長との「人脈と金脈」に迫っている。
筆者の一ノ宮氏は、本書「はじめに」で、「橋下人気」や「橋下現象」について、「橋下氏の『闇』の部分など検証していない、あまりにも空虚な」現象だと断ずる。メディアのあり方を考える1冊にもなっている。<モノウォッチ>