大津市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、学校が、生徒に実施した1回目のアンケート結果のうち、感想を記した部分(約600人分)を、市教委に提出していなかったことが19日、市教委への取材で分かった。男子生徒の死に対し、悲しみや自責の念など在校生の思いがつづられており、市教委は「必要な書類」としているが、学校側は「記されているのは生徒の思いで、結果の提出までは必要ないと判断した」などと説明したという。
アンケートは、生徒の自殺を受け、市教委が学校側に指示して実施。自殺直後の10月17~19日に全校生徒859人にアンケートを行った。アンケートは、生徒にいじめの具体例を聞いたものと、生徒の感想を聞いたものの2種類があり、重複回答者を含めそれぞれ約300人分、約600人分あった。
感想の回答には「何故こんな若さで尊い命を失わなければならなかったのか」「命を落としたと考えるだけで胸が苦しくなる」など、自殺した男子生徒への悲しみや自責の念がつづられていた。
アンケート結果のうち、学校側はいじめの具体例について市教委に提出したものの、感想については提出しなかった。代わりに感想は、一部回答内容を抜粋した報告書を市教委に複数回出していたが、すべては伝わっていない。
13日の市議会委員会では市教委が、昨年10月のアンケートと、補足調査で同11月に実施したアンケートを議員だけでなく、傍聴者にも配布。内部資料を市民らにも公開する異例の措置をとったが、10月の内容に抜け落ち部分があった。
未提出の感想アンケートを見た市教委幹部は「こんなものがあったのか」と驚き「必要な書類。まとめているのなら学校側には提出してもらいたかった」と不満をもらしている。