「あの時から時間は止まったままだ」。大阪市の校正印刷会社で胆管がん発症者が多発している問題で、労災申請を終えた遺族らが１９日、大阪市内で記者会見し、問題の徹底究明を訴えた。一方で、多くの発症者の存在を知りながら、病気について何の説明もしない会社への不信感をあらわにした。
「胆管がんという病名すらわからず、色々な病院の先生に相談して調べてもらったが原因はわからなかった」。夫を亡くし、自身も同社の事務員だった大阪市内に住む女性（３９）は当時を振り返った。
社長は「社員は家族」と話しており、「会社の空調は完璧だ」と説明。従業員も疑うことなく信じていたという。
そのこともあり、夫が胆管がんになったときも業務との関連性は頭に浮かばなかった。
「たくさんの方が亡くなっていることを知ったのは、（昨年秋に）大学の先生による調査が始まってからだった」。女性は声を震わせながら話し、「『空調は完璧』との社長の言葉を疑うことなく夫は亡くなった。社長が出てきて事情を説明してほしい」と訴えた。
また別の元従業員の遺族は、「死んでから５年という労災の時効はおかしい。事態がわかった時点で申請できるのが当然だ」と話し、「第２、第３の私たちを生まないよう、国はしっかりとチェックしてほしい」と訴えた。