最新話かと期待して見られた方には大変申し訳ないのですが、今作では完結までの流れを簡単に書きたいと思っております。
現在、にじファン閉鎖による移設に伴いまして、本作を大幅に改稿していきたい(設定変更も視野に入れております)と考えています。よって、大分趣の変わった作品になってしまう、別物になってしまう可能性があります。そこで、今の展開だとどういうエンドになるのかということを最後に書きまして完結という扱いにさせていただきたいと思います。
雑で、強引。
超展開、箇条書き上等、かと思えば書きたいところだけやたら詳しい描写が入るカオス状態になりますがそれでも見てやるという心広き方は下にスクロールしてご覧ください。
最終話
●クラス代表決定戦編
一夏と対峙する前に本妻と男子トイレにて通信。
「一夏くんの戦闘データをより多くとるために」とわざと負けて一夏にセシリアと対戦させるように指示される。
釈然としない思いを抱きながらも、戦いに挑むシャロン。
白式の最適化後、やはり出てきた武器は雪片弐型。ISのコマンドでその性能を見るように言うと一夏は「零落白夜ってのが…あるけど…」と口をつぐむ。
シャロンは「ISのシールドそのものを消し去る機能ってところか?」と言う。
原作通りだったらそうだし、一夏が俺に言いにくそうにしているからな、と思いながら。
一夏がはっとしたようにこちらを見るけど、気にせず「そういう武器って大抵持っているだけでもエネルギーだだ漏れになるし、気をつけろよ?お姉さん、おっと織斑先生も同じような武器もってただろ?あれを参考にしろ。相手を切り裂く瞬間だけ、一局限定でその武器を展開するんだ。じゃないと『うおー』→『エネルギーがっ!』ってなるからな。お前信じられないって顔してるけど、絶対やるからな、何回も言っておくけど相手を切る時だけ接近して展開を…「シャルル!」…なんだよ?」
べらべらと己を切ることに関しての注意点を話し続けるシャロンの言葉を一夏が遮る。
「お前…こんなときにかっこつけてどうすんだよ…」「は…?」
「体、震わせながら、俺に注意してる…」いつのまにか、震えていた体に嫌悪しながらも、一夏を見て思わず笑った。
「お前もな」
哀れなくらいおろおろしている彼を見ながらシャロンは、覚悟をしていようが傷つける、傷つけられる可能性に感じる恐怖は当たり前なのだと思えて笑った。こんな青ざめている男が主人公なんだもんな。しゃーない、最後までかっこつけさせてもらうか。
「おい、真剣勝負なんだ。手加減は要らないっての」
「?!…何言ってんだよ、お前…トラウマだってあるし、これ、この零落白夜使ったら、もしかしたら、もしかしたら…」
「IS一回しか乗ったことないやつが、それこそ何言ってんだよ。お前の腕でどうこうなるとかないわーマジありえんわー」
シャロンはそれからランケアスを取り出し、せせら笑った。そのまま一夏が口を開く前に「ちゃんと避けろよな!」と言いながら瞬間加速でとっつく。
「な?!」
驚愕する一夏を切りつける。一夏は体をねじって避けたが、「あ」手からぽろりと雪片が落ちた。
(ちゃんと武器くらい握っておけよ!)
一夏は焦ったような顔をしているが、負けなければならない俺はそれ以上に焦っている。
「おらおら、どうした?!避けてばっかりかよ?!」「ちょっと!待てよ…!!」
連続で攻撃しながら、地面に落ちた雪片の方に一夏を誘導する。勢い余って地面に追突した一夏がわらにでもすがる思いでとったのは一振りの白銀の刀だった。
「絶対怪我すんなよ!!」と言いながらそのまま思いっきりそれを振る。
いや、この場面でそのセリフおかしいだろ。
結論から言うと、零落白夜は想像以上の威力だった。どんなものからも身を守ってくれるシールドが紙切れ同然に切り捨てられ俺とISは…「あ」
「『エネルギーがっ!』ってか?」
同時になるブザー。
俺のシールドエネルギーと一夏の零落白夜に使用されるエネルギーが切れたのは同時だったのだ。
(ただ、まぁ…)
結果オーライ。
機体に入った傷を見た。これじゃあ、続けて試合は出来ない。
俺は一夏の肩をたたきながら言った。
「セシリアと戦うときは『エネルギーがっ!』ってならないようにな」
さっきあのビジョンは見えなかった。あのとき一夏がずれてること言ったからそっちのつっこみに頭が回ってたからかもしれないけど…
(生命の危機だったのに、…何も見えなかった)
俺は妙に清々しい気分で自分のピットに向かった。アリーナにカメラはばっちり設置してあるし、一夏の試合は見なくてもいいよな。
部屋帰ってさっさと風呂入って寝ようっと。
俺に怪我がないか心配して一夏が焦りながら試合をしていたとか俺には知る由もない。
●鈴、登場編 兼 謎のIS「ゴーレム」襲撃編
【一夏は結局セシリアに敗れる。しかし、それは彼女が油断せず初めから本気でやっていたため。「男性」というものを見直す。(※ただし、恋はしていない)一夏がクラス代表となる。シャロンは訓練の手伝い、勉強の手伝いをすることになる。
その日の夜、涼みに部屋から出ていたシャロンは鳳鈴音と出会う。鈴はシャロンに案内されて受付まで連れて行くが、受付嬢が「シャルルくんは織斑くんと同室なのよね」「二人は仲良くっていつも一緒にいるのよ」などの発言→「へぇ」鈴興味ありげ。→受付嬢(=腐女子)がお仲間だと勘違い→腐っている本を披露→「へぇ…」鈴、本を撃破。あらぬ誤解をシャロンは受けることとなる。】
「はぁ…」
俺は早朝の食堂でため息をついた。
(鈴は思い込み激しいな…あれから何言っても恋敵を見るような目で俺を見て…。なんでファースト幼馴染とセカンド幼馴染は妄想たけだけしいんだろうな…。箒だけでも視線で体に穴空きそうだったのに、これから鈴も加わるとか…
しばらく一夏は避けとこう……)
【そう決めたシャロンは一夏をスルーし続ける。箒と鈴の視線に疲れて早く寝ようとしたが、一夏とは同室。夜になって鈴との『約束』についての相談をしてくる一夏の相手をしぶしぶすることになった。】
どうやら、酢豚の話のようだ。「私が大きくなったら、酢豚を毎日食べてくれる?」だったっけ?そんな感じだ。鈴にとってはプロポーズだったが、一夏は気付かなかったって話だったよな。
「奢ってくれるわけじゃないのか?鈴めちゃくちゃ怒ってたし…」と困惑している一夏に俺は言った。
「奢る訳ないじゃん…鈴、料理うまそうだし」「あ、作ってくれるってことか!」
お。
気付いたか!それにしては無反応だな。
「鈴、親父さんと同じく中華料理屋でも開くつもりなのかー。俺常連客になって毎日食べに行くよ」
この鈍感!ため息をつきながら、俺は諭すように淡々と話してやった。
「ちょっと話を変えよう……たとえば、一夏が毎日みそしる、…いや、得意料理を作る。特定の一人に毎日それを食べてもらいたいからだ。その心は?!」
「え、ちゃんと自炊しないから心配で」「お前、今誰で想像した?」「千冬姉」
このシスコン!
……そもそもこいつは人を好きになったことあるんだろうか?
「……一夏。お前が気にしている、あるいは気になった人は」
「千冬n」
「先生以外で」
「うーん、箒は転校して何してたか気になったしのほほんさんはあの袖で物をどうやってつかむか気になるしセシリアが入れる本場の紅茶の入れかたも気になる」
おい、この朴念仁が。ダメだ、こいつと恋愛に関する話をするなんて無理だったんだ。
諦めて「もういいよ」と言おうとした瞬間、次の一夏の言葉に俺は固まった。
「でも…今一番気にしているのはシャルルなんだ」
「は?」
脳内に受付嬢が見せてきたBのLな漫画の描写がありありと浮かんできた。
こいつが俺のこと男だと思っているのにこんなこと真剣に言いだすなんておかしい。絶対この鈍感男はきちんとした意味で言っていないのだろう…と思う反面、真剣な目でこっちを熱く見ている一夏を見ているともしかしたら本当にそのままの意味で言っているのではないかと思えてくる。不安に揺れる瞳は俺に嫌われるのを恐れているみたいで、言われた俺までそれが伝染してしまったようだ。ふわふわと妙に浮き足立った気持ち。俺は無意識に自分の胸元をつかんでしまっていたらしい。まるで恋する乙女のようで自分の反応に気まずく感じる反面、どうしてもそわそわしてしまう。
「…どういういみだよ……」と俺が言うまでたっぷり3分は経っていた。
「この前零落白夜で切ったとき………」
俺は急に頭が冷えるのを感じた。ああ、そういうことか。
「気にすんな。シールドエネルギーがゼロになっただけで、お前は俺に傷ひとつ付けてねえよ」
人傷つけんのが嫌だったってオチか。……紛らわしい真似すんな。
今ならちょっと、いやかなり箒たちの行動が分かる。気をもたせるような態度をとられてそれがすっかり的外れだったと分かったとき、自分の勘違いに対する羞恥、一夏のそんな態度への怒りがこみあげてくるのだ。
だが、一夏は首を振った。俺の勘違いはまだ続いているようだ。今度は一体なんだと言うのだろう。
「それもあるけど…なんと言うか、俺のこと怖がったりとかしてないか、って…
トラウマあって同じようなことされてお前が俺を怖がって避けるのは分かる。今日も避けてたし、さっきも話せずに寝ようとしてたし………分かるから、トラウマ克服出来るまで待とうと思ったんだけど…
しんどいんだ。すごく。嫌なんだよ だからおr」
「え、あ、ちょっと待て。
あれはお前の取り合い…ゴホンゴホン、えーと久しぶりに鳳さんと会ったならそっちと話せばいいと思って離れてただけだよ。早く寝ようとしたのは、えーと、疲れているからかな」
一夏はたっぷり三拍おいた後、間の抜けた声を発した。
「え?」
「試合は…単に悔しかっただけだよ。そりゃ、全く怖くないというと嘘になるけど、今までみたいにフラッシュバックが起きた訳じゃないし、まぁ、お前との練習のおかげだと思っている」
一夏は俺の言葉をよく吟味しながらやっとのことで小さく「え、俺の勘違い?」とつぶやいた。
勘違いしたのはお互い様って訳か。すっきりした気分で「明らかに」と言いながらにやにや笑うと、一夏は途端に顔を赤くする。
「…ッ//////」
「あははっ。俺が一日くらいそばにいないだけで嫌なんですか、一・夏・さ・ん」
「え、あ?!…とっ、友達に避けられたと思って一日中気を病んでた俺に謝れ!」
にやにやしまくる俺に枕を投げつけて一夏は布団に入ったのだった。
後日、「たまにシャルルが悪魔みたいに思えるときがある」とクラスの女子に言ったらしく、一夏といる時の俺は「小」悪魔ちっくという噂が広まっていたとか俺には知る由もな…かったら良かったのだが、ばっちり俺の耳にも入っていた。
…この噂に歓喜して紙に何か書いている女子は避けよう。特にあの受付嬢。
鈴との試合の日。
俺はピットにシャルといてモニターを見ているのだが…
「はぁ」
俺は絶望的なまでの一夏の朴念仁っぷりにため息をついていた。公開チャネルから聞こえる音声は「あれから思い出したんだけど、…毎日酢豚を作ってきてくれるなんて俺相当心配されてんだな。たんと食べてるから安心しろ」だ。馬鹿め。
鈴もよくあの男を怒れるよな。鈍感すぎて面白いくらいなのに。
【謎のIS襲撃。】
あれは一夏たちが倒すんだよな。
シャルが「あれ、箒?」と言う。何だっけ、このイベント…あ。
箒がしびれを切らして応援しに行くんだっけ?
「箒!」
こんな事態に走って着いて行くシャルを見ながら思いだし、慌てて追いかける。
原作通りなら平気でも…絶対なんてない。シャルが傷つく可能性もある。二人で箒を放送室から避難させると同時に、謎のISを一夏が両断した。
【緊張がきれたのか、一夏は疲労で倒れてしまう。保健室に運ばれる一夏。
その日は保健室に泊まると言うことで同じ『男』であるシャロンはパジャマや下着を届ける(すごく恥ずかしかったが)。その際、シャロンは一夏の『守る』という決意の固さに感嘆するのだった。そして、頑張った一夏を珍しく褒める。】
「お疲れ、一夏。ヒーローみたいだったぞ?」
と言うと「またからかって…」と赤くなった。手を開いたり閉じたりしている。織斑先生が『ああいうときは調子に乗っている』と言っていた癖だ。素直に褒めたつもりだが、その癖を見てまたにやにやしてしまったらしい。しょうがないだろ。俺が言った言葉で照れる一夏を見るのはなかなか愉快だったんだから。
「……俺こそありがとう。シャルルとシャルr…アズナヴールさんが箒を助けてくれてうれしかった」
「シャルが助けに行ったから俺も行っただけだよ」と軽く言いつつ、本当に箒のこと気にかけているんだなぁと思う。さっきまでの愉快な気分は消え、つっけんどんな態度をとってしまった。
「素直じゃないなー」と笑う一夏の顔めがけてタオルとスポーツ飲料を押し付けて部屋に帰った。後ろで「え?あ、ありがとう!」と言う声が聞こえて、俺は投げつけるのをすんでのところで我慢して良かったと思ったのだった。
こんなにコロコロ気分が変わるなんて、一体どうしたんだろう…。
●ラウラ入学編
本当は俺たちが入学するはずの時期だな、と思いながら教室で女子たちとISスーツのパンフレットを見ていると、何故か三組から絶叫が聞こえた。
「可愛いぃ!!!」「妹みたい!!」「キャー!!」
一組の生徒はまだ先生が来ていないので三組に殺到。俺も「初の専用機持ちゲット!」という声に、野次馬にまぎれて見に行く。まさか。
そこには、室内でも輝く銀の髪、眼帯の少女がいた。
「萌え!」
「クラリッサと同じことを言うな…」
「え、ドイツ軍にもオタク文化が!?」
「もっと詳しく聞かせてよー」「猫みたい!」「可愛い!」
どうやら原作と違い、三組となったラウラは、やっぱり違うように見える。どこか優しげと言うか、もっと柔らかくなったような。
三組のアイドルに早々なってしまっているらしく、あちこちから黄色い悲鳴とシャッター音が聞こえる。ラウラは戸惑ったように言われるまま目線をカメラ方向に向けていたが、シャロンに着いてきていた一夏が「あの子も専用機持ちなのかぁ」と言った途端、ラウラがこちらを見た。
「…所用がある」とあの女子の包囲網をまさしく猫科の動物のようにしなやかに避けてこちらまで来たラウラは、一夏にビンタしていた。
(あれ、やっぱ根本的には変わっていないのか)
【ラウラとシャルロットが同室になる。
昼間のラウラの様子を見て、シャルが心配になった一夏とシャロンは、二人で彼女たちの部屋に行く。】
「お前がいくと余計厄介なことになるだろ」
「あいつがピリピリしてるの俺のせいみたいだし」
と会話していると部屋の中からシャルの悲鳴が。
慌てて扉を開けると、全裸のラウラに顔を赤くしてパジャマを持っているシャルがいた。
次の瞬間、
「…何をしにきた!」「裸で何してんだ!」「何堂々としてるの!?ラウラ!」「何堂々と見てるんだよ!?一夏!」
部屋に悲鳴にも似た四重奏が響き渡った。
俺と一夏は一旦退室したが、その時になってようやくラウラが寝る時は裸になる習慣があると思い出した。
「なんというラッキースケベ野郎。お前、後ろ向いて見なくするとかしろよ」
「でもあいつ今にも襲いかかってきそうだったし」
思わずため息をついた。
部屋の中では、
「せめて前を見えないようにしようよ」「敵に背を向けろと言うのか」「手で隠すだけでもいいからぁー」
とシャルが言いつつ、姉妹同時にため息をついたのなんて知る由もない。
【ラウラが制服を再び着たところで室内に入り、左からラウラ、シャルロット、シャロン、一夏の順で横並びに座った。ラウラが一夏を視界に入れるとムカつくというので。子どもか。一夏はここで誘拐された話をする。結果、誘拐で姉に迷惑をかけたと思っている両隣の一夏とシャルロットが沈みこんだ面持ちになってしまった】
「俺は違うと思う。先生は一夏に傷ひとつつけなかったことを誇りにしているはずだ」
と言うと、両隣の二人はうるうると感動した視線を向けてきた。
ラウラは複雑そうな顔だ。俺は続けて「ラウラだって、誘拐事件があったから先生に会えたんだろ?ラウラは誰かを見捨てる先生は嫌だろ?」と言った。
何だかこの話はラウラにとって納得いくものだったようだ。ペア戦のときもVTシステムは起動せず、無事に終わった。ちなみに俺と一夏のペアが優勝した時の箒の顔がめちゃこちゃ怖かった。この戦いに勝ったら、付き合ってもらうとか言っていたからだろうか。だが、この箒の妙な宣言のせいで後日厄介なことになるなんて思ってもみなかった。
●デート?編
「勝った人は一夏くんと付き合えるっていう話があったの!優勝したのはシャルルくんとだから…きゃっ☆」
と一夏にクラスメートの子が言った。く、腐ってやがる。
後ろにいる鈴と箒からぶわっと黒いオーラが出るのを感じた。
「付き合うって、それはだんzy「そうなのか?じゃあ、シャルル。買い物にでも付き合うぜ。お前、そういえば日本に来てずっと俺の練習に付き合ってて学校外に出てないだろ」「あ、ああ…」「日曜に行こうぜ」「ああ、うん……」
「うん」って言っちゃったし!
【男用の服がないので、ジャージを着て出かけようとすると一夏に自分の服を着るように言われる。だが、少し大きかったので「先に服買いに行くぞ」と言われる。
午前10時レゾナンス到着。小さい男用の服と(シャロンはめちゃくちゃ反対したが)女子用のボーイッシュな服を買う。その次に一夏が前話していた駅前のおいしい抹茶を出すカフェに行く。久しぶりの抹茶味のせいか、口に合ったのか、おいしすぎて色々食べてしまった。皿が空になるたびに一夏が自分のわらび餅を一つずつ皿に乗せてくれた。傍から見ると餌付けされているように見えるだろうが、そんなことどうでも良いと思えるくらいおいしかった。お腹がいっぱいなので午後から散歩することになる。何だかんだでデートらしい一日を過ごしてしまったと思いながらも楽しかった、一緒に遊べて良かったと思ってしまう自分に気付くことになる。
ちなみに、他の女子たちは千冬さんに用事を頼まれ、来れず。シャルは寮で悶々とした気持ちを抱きながらもラウラに学園案内をする。】
●三角関係編
【一夏とシャロンの部屋をシャルロットが訪ねる。
「俺」口調で話しているシャロンをシャルは発見。一夏が用事で出て行った後、しばらく世間話をしていたが、シャルの様子がどうもおかしいと思ったシャロンはどうかしたのかと尋ねる。すると、シャルは重い口を開いたのだった】
「シャロ、私ね…一夏が好きなんだ…」
「あんな男やめとけ」
反射的に言葉を返していた。
シャルが言った言葉は衝撃的だった。「好き」と何度もシャルは俺に向かって言ってきたが、ニュアンスが違うのは明らかだ。さっきの「好き」はどこまでも甘い響きをもっていて、シャルは本気なのだと思えた。
だが、ぱっと顔を上げてシャルが言った次の言葉には先ほどの甘さはみじんも感じられなかった。
「そう言うのは、…『シャロン』が一夏のこと好きだから?」
「…え?」
恐ろしいほどの沈黙が降りた。
「何で一夏とデートしたの?やめとけって、…私の為に言っているの?それとも…」
シャルが何を言おうとしているのか、自分が何と答えるべきなのか、そんなの分かっていたが咄嗟には答えることが出来なかった。
そんな中、一夏が帰ってきた。
「けんかでもしたのか?」と聞いてくる一夏が憎たらしかった。こんなときだけ察しがいいのは止めてほしい。何を自分が言ってしまうのか分からない俺は「ちょっと飲み物買って来る」と言って振り向きもせず、部屋から出たのだった。
【自動販売機前で織斑先生と遭遇】
考えが全然まとまらなかった。
一夏。
一夏は『友だち』と俺を呼ぶ。俺は一夏を調査して戦いのデータを送る。それは母さんとシャルを守るために必要な行為だ。二人の為に一夏に戦ってもらわなきゃいけなかった。だから俺は一夏の『友だち』としてIS関連の訓練や勉強を手伝った。
『何で一夏とデートしたの?』
それは…デートじゃない。確かに男女二人で出かけるとデートと言うが、一夏は俺が女だと知らない。いや、シャルが聞きたいのはそんなことじゃなくて他の女の子に譲ればよかったということだよな。分かっている…分かっているけど…!
「デュノア」
突然後ろから響いた声に俺は飛び上がった。
「織斑先生…」
「もう遅いぞ、さっさと部屋に帰れ」
俺は素直に頷き、踵を返した。「いや、待て」と言われたのですぐ立ち止まることになったが。
「一夏と何かあったのか?」
「いえ。別に何も」
「一夏はモテる。お前とも、何かあったのかと思ってな」
「なっ?!…僕は男ですよ!一夏とは、ただの友だちです!」
「冗談だよ、デュノア。呼び止めてすまなかったな。早く部屋に帰れ」
先生は理由もなくあんな発言をしたとは思えない。バレているのかもしれないという焦りから足早に部屋に向かった。
だから、「『何も』か…小娘が。しっかり女の顔をしているのにな」と先生が呟いたのに気付かなかったのだった。
【部屋に残されたシャルside】
言い過ぎた。
私は椅子の上にへたりこんだ。あんなこと言うつもりじゃなかったのに…
「二人とも喧嘩なんて珍しいな」と一夏が言ったけど、なんて答えたらいいか分からなかった。
「喧嘩というか…」
そもそも何故あんなことを言ったかというと、シャロが一夏に男口調で接しているのを聞いてしまってからだった。
「シャロって昔から私の為にならないものは捨てていくの」
気付いたら話し始めていた。一夏は少し距離をあけて置かれていた椅子に座りながら穏やかに聞いていた。
「シャロってシャルルのことか?」
「うん、…私一番というか…私のことしか考えていない、いなかったというか…」
言いながら関係ないことを言っているようだし、うぬぼれかもしれないと思って少し口ごもったが「ああ、そうだよな」とすぐ肯定されて、ほっとし、気持ちを吐き出した。
「…誘拐事件もだけど……口調だって最初は自分のこと『俺』って言ってたんだけど、私が真似して『俺』って言ったらシャルには似合わないからって口調を変えたの。ほら、ずっと『わた…』、ううん『僕』って言っていたでしょう?」
「ああ、そうだな……でも、てっきりクラスメートの前だけ猫かぶっているのかと…」
「ううん、私といるときもあの口調なの。一夏の前だけだよ?昔どおり『俺』って言ってるのって。…私、久しぶりに聞いてびっくりしちゃった。それに、一夏もそれで当たり前のような顔してたし
…………嫉妬しちゃったんだよ。だから、嫌なこと言っちゃったんだ」
「ああ、シャルルほどではないけど、シャルロットだって相当のシスコンだもんな」
「………そんなことは…ない、よ…」
「そうだって!まぁ、俺に対しては同じ男同士だし、…あいつは言わないけど『悪友』みたいに思ってくれてるんじゃないのかな?それに…」
色々とフォローしている一夏を見ながら私は軽く微笑んだ。
本当はどちらに嫉妬していたかなんて言えない。
部屋の外から聞こえた彼と姉はひどく親しそうだった。普通に話しているだけなのに間に入れないと感じた。
「すぐ仲直りできるって!」と懸命に自分を励ます彼を見ると、自分がひどく汚く思えた。
純粋で、一生懸命なあなたが、好き。
だけど、やっぱり好きなんて言えないよ。
【シャロンside
ようやく部屋に戻るが、すれ違ったときに見たシャルの顔を見て、そのままベッドに向かう。】
自分のベッドに腰掛けながら、思い返すのは、シャルの「何で」という顔だった。
俺の意思を無視して、神様の悪戯かどこかの誰かのせいか、俺はシャロンさんとして生きている。
だから、同じように俺の意思に関わらず突然引き離されるかもしれない。
俺はここに来たのは、それまでに未来の知識を使ってシャルとお母さんを幸せにするためだと思っていた。
けど、シャルは、俺がいなくても、一夏の傍に居た方が幸せそうなんだ。
同時に母さんのことを思い出した。俺は母さんが死にそうになると分かっていたのに救えなかった。
俺は結局この世界で二人を守ることが出来なかったんだ。
もし。
シャルが一夏と結ばれたら、デュノア社は世界唯一の男性操縦者のデータ、篠ノ之博士の知識のつまった白式のデータを得るだろう。
一夏にはブリュンヒルデである姉、IS設計者篠ノ之束博士がついているから、危害を与えられることもないだろうしデュノア社も下手な真似は出来ない。人質のお母さんも救えるだろう。
…あれ?シャルは好きな人といられるし、幸せになれるんじゃないだろうか?
何でこんなにシャルを応援できないんだ?
「…ル? シャルル?」
「おあ?!…い、一夏。おどろかせるなよ」
顔を上げると一夏のどアップが目に映った。近すぎだっての…ドキドキさせやがって。
しかし、本当近い。俺がもう少し顔を上げてたらキスしてしまうところだった。
「な、何回呼んでも、反応しないから…」
ん?さっきまで俺を見ていたくせに、一夏はぎくしゃくと右斜め上の虚空に首を向けながら2、3歩後ずさっていく。
あ、自分のベッドが後ろにあることに気付いてないな。
「おい、一夏…」
一応注意してやろうかと思って腕を掴もうとすると、それから逃れるようにさらに後ずさって、結局ベッドに膝かっくんされる形になり、自分のベッドに倒れこんだ。
「うわぁ?!」
「……お前、本当おっちょこちょいだな」
ベッドに転がった一夏は恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしている。
「ち、違うって!!」
「はいはい、そうですか」
「おい!」
俺があれこれ思い悩んでいるなんて、馬鹿みたいだ。一夏の反応を見ながら、俺はちょっとだけだけど、一夏に感謝してもいいくらい、肩の力を抜いて笑うことが出来た。
「ふふっ、一夏は面白いなぁ」
そう言うと、一夏はぽかんとした後、これ以上なりようがないくらい顔を真っ赤にして―あれだ、さっきまでが普通のトマトだとしたら、今は熟れたトマトみたいだな―ベッドにうつ伏せになってうめき始めた。
……悪いやつじゃないんだ。
俺はどうにも腑に落ちない気持ちでシャルと一夏のことを考えながら、隣のベッドで同じようにうめき始めたのだった。
【一夏side
友人の五反田弾に電話。ここから先一夏のセリフのみ】
もしもし?弾、今いいか?…ありがとう。…え?まぁ、そんなもんだよ。…は?明日は晴天だって。槍なんか降るわけないじゃないか。…ああ。
それがさ…相談なんだけど。
この前顔が近づいてさ、何か顔見てられなくなったんだ、その後にそいつの方見ると、いつもと違う感じで……え?いつもはにやにや笑いというか、意地悪な笑いをしたりしているな。…え?イジられてるんじゃないかって?…俺もそんな気はしてた。学園の女子もそいつを「小悪魔」って言うしな。俺も、俺が失敗したのを見てにやにや笑うあいつを見ていると、「この悪魔!」って思う…え、意味が違うって?
ああ、それで話の続きなんだけど、そいつが穏やかな感じ?ふわっと笑ったんだ…何かすっげぇドキドキしたんだ。こう、胸が締め付けられるような…どういうことだと思う?……弾?黙ってないで何とか言えよ。…朴念仁って最近よく言われるけどどういうことだよ……どうした?急にテンション上げて?……ん?休みの日に二人きりで過ごしたらどうかってことか?……なるほど。一緒に過ごしたら、笑顔にドキドキする訳が分かるんだな!早速今週末誘ってみる!ありがとうな。
弾のやつ、嬉しそうだったなー。感動してたって感じもしたけど…あそこまで嬉しそうなのって、中学生のとき、ナンパに成功して可愛い女の子とメアド交換したって言ってきたときくらいか?まぁ、その後にメアドに悪戯メールがたくさん送られてきてヘコんでたが…
それより、シャルルと一緒に過ごす、か…
学園じゃ、シャルルと二人になれるのなんて部屋くらいだし、休みの日は箒や鈴が部屋に来るからなぁ。この前みたいに外に出て一緒に過ごさないか誘うか!
えーと、「二人きりで外に出よう!」…不自然だな。
「一緒に外まで付き合ってくれないか」…こんなところか?
よく分からないけど、恥ずかしいセリフな気がするが…
あ、シャルルだ。箒と鈴もいるな。
まぁ、思い立ったらすぐ行動する方がいい。
何故かシャルルを見るとまたドキドキしてきたけど、言ってしまおう!
「シャルル、つ、付き合ってくれないか?!」
後日どころかその日のうちに学園中にこの話が広がり、そのたびシャルルがこちらを睨んできたのは気のせいではないはずだ。
まぁ、結局OKしてくれたからいっか。
●臨海学校前 デート?2回目
【早速全員が着いて来ようとするが、シャルが前日一夏とシャロに朝早く出発すること、レゾナンス以外に行くことを提案する。シャル曰く「シャロは一夏のことどう思っているのか分からないんでしょ?だから、明日一日一緒にいたら分かるかもしれない。その上で私を応援するか、ライバルになるか決めて。……でも!どちらにしても、シャロは私のお姉ちゃんってことは忘れないで!」。シャロンは、自分の中身が男だ、シャルが一夏のことを好きだという考えは今日一日だけ捨ててその日一日だけ楽しもうと決めた。
遠くのショッピングモールまで行って臨海学校前なので水着を見ることに。
しかし、女性であることを隠しているゆえ困る事態に陥った。】
「シャルルはどれにする?」
「あー、あの、えーと…あ!あれとか!!」
俺が光速で眼球を動かすと視界の端にあるものが映った。
全身を覆う黄色い布地にぴんとたったお耳がキュート。袖までだぼだぼでお尻の上にあるしっぽはどこに需要があるだろうか、いやに丁寧に作られている。
「……フレンチジョーク?」
ピ●チュウの水着スーツを凝視しながら一夏はつぶやいた。
俺ものほほんさんと二人でお揃いの水着(かどうかは首をかしげるものがあるが)を
着ている自分の姿を想像すると、これはおかしいと思った。
「あー、よく考えたらISスーツは防水機能あるから、それでいいんじゃないかってオモエテキター。ワザワザスマンナー」
「何で急に片言に「あー!お前はこの水着が似合うな!さっさとサイズ確認して買ってこい!」」
【またご飯食べて散歩をする流れになる。篠ノ之神社を通り過ぎたときに、夏祭りの話になる。「今年行こう」という話を聞きながら、箒と一緒に行くんじゃないのか?など勝手に考えてむかむかした気持ちになった。そこで、嫉妬をしているのだと気付き、好きなのだと自覚する。帰りにクレープ屋を発見する。クラスの女子がここのミックスベリーがおいしいから一夏と食べればいいと推していたなと思い出した。】
「なぁ、お前クレープ好き?」
「ああ。シャルルも?」
「うん、好きだな」
「じゃあ、あそこにちょうどあるし、食べようぜ」
あれ、ミックスベリーってないな。売り切れてるのか?
「クラスの女子にここのミックスベリー勧められたんだけど…」と困った顔をしていると、一夏が「ブルー『ベリー』とストロ『ベリー』ならあるから、これ二つ買って分けたらよくないか?」と言いだした。
おお、その発想はなかった!
「すごいな、一夏!全然気づかなかった!」
アハ体験をしたような高揚した気分で二つ買ったが、その後あんなことになろうとは思ってもみなかった。
「「……」」
数分後、無言でお互いに一口食べてはクレープを交換する俺たちの姿がそこにはあった。確かに口の中でミックスベリー味になっているはずなんだけど…分からん!だって、常に間接キス状態…いやいや、意識しちゃだめだ。ちらっと一夏を見るとあっちもこちらを見たらしい。ばっちり目があって、そこから…とにかく必死だった。平静を装って、風呂入って床について…そういや、目があってからずっと無言だったということに気付いてせっかく二人で出かけたのに!と猛烈に後悔したのだった。
●臨海学校 前日編
【夜通し色々考える。一夏のことが好きだ。だが、自分の中身は男、世間的にも男、シャロンさんがいつ帰ってくるかも分からないという状況ではいくら想っていてもどうしようもない気がした。第一シャルを幸せにする、それが自分の存在意義なのだから、シャルを応援するほかない。
今日一日だけの思い出で俺はもう十分だよ。
そう考え、シャルに「やっぱり一夏は友だちだよ。だから応援する」と言うがすぐ「嘘」と言われる。】
「私の幸せを願ってくれる気持ちは嬉しい…!けど、シャロも幸せじゃないと私、自分が幸せだなんて言えないよ!」
「わ、わたしは一夏のこと…ほんとうになにも…」
「もう嘘つかないでよ!自分が何もしないまま、一夏が誰か他の人とくっついて…それで心から『お幸せに』って言えるの?!私は…わたしは…むりだよ……。だから、シャロ…あきらめないでよ!」
口の中がからからだった。
シャルは息を荒げながらこちらを見ていた。5年以上一緒にいてこれほどまでに剝き身の『シャルロット』を見たのは初めてだった。
「ごめん…ごめん……」
あなたから姉をとってしまって。
あなたを応援できなくて。
あなたの好きな人を好きになってしまって。
あなたの幸せだけを願えなくて。
ごめんとしか言えなかったが、シャルは分かったらしい。
「もう!…その日本語間違ってるよ」
顔を上げた俺にシャルは最上級の笑顔で言った。
「ありがとう、でしょ?」
本当に最高の妹だよ。
●臨海学校 一日目 編
【一日目は何とかISスーツでごまかしつつ、みんなと遊ぶ。その夜シャルがシャロンの水着も買っておいてくれたそうで(「やっぱり女の子はかわいい水着を着ないと!」)二人で夜の海辺で遊ぶこととなった。】
蒸し暑い夜の中、シャルと遊ぶのは楽しかった。
水着がお揃いであるということも嬉しい(水着を着ることは抵抗があるけど『お揃い』というところが。ちなみにシャルはレモンイエロー、俺は白の水着で背中の黒いリボンが同じく白いパレオをつっている)。
初めてした喧嘩で一緒に過ごせなかった時間をうめるように俺たちは楽しんだ。
【すると、逃走する一夏とそれを追いかける箒、鈴がやって来る。ちなみに一夏はなかなか部屋に帰ってこないシャロを探しに外に出た(部屋は男同士で同室。隣の部屋に織斑先生、山田先生がいる)。暑いのでタオル持参で少しでも海辺に沿って探しているところに、水着姿の箒に会い、「何でみんなと一緒に遊ばなかったんだ」→「…そ、そんなのどうでもいいだろう?!(水着が恥ずかしかったからなんて言えない)」→「あ、ああ…(何怒っているんだ…?)」→鈴がその場にやってきて箒と逢引していたのかと勘違い。箒も「一夏は、私と話すために来たんだ」と挑発→一夏が「え、そうだっけ?そんなことよりシャルル見かけなかったか?」と聞いたことで二人が爆発。→恐れをなした一夏逃走。追いかけられる←今ココ。】
遠くから一夏たちの声が聞こえたので焦りつつ長めのタオル地のパーカーを羽織った。しばらくすると、鈴と箒に追いかけられている一夏の姿が見えた。何故かあいつはこっちに走り寄ってくる。
「何で追いかけられてるんだよ?」
どうせラブコメ的展開があったんだろうなぁ。
「よく分からない」
で、一夏は気付いていないわけだ。さすがキング・オブ・鈍感。
シャルは呆れたように「はぁ…」とため息をついている。
俺の方はじりじりと嫉妬を感じている最中、一夏はのんきにも「二人で泳いでたのか…」と勝手に納得している。そして、俺の首にタオルをかけた。
「これ持っててくれ。落としそうだ…げっ、もう来た!」
走り出す一夏の後ろ姿を見てタオルに触れた。首筋の傷がこれでちょうど見えなくなっていた。わざとか?それとも…
タオルの触れた肌が火照るのを感じた。
【一方逃げる一夏は、悠長に『シャルルは細いなー。風呂でちょっと見たけど同じ男とは思えないほど華奢だったなぁ』と考えていた。
白くて細い足がやけに暗闇に映えて、そこを水が伝い落ちていく様がいやに艶かしく見えた。普段ブカブカのジャージ着てるから分かりづらいんだけど…って俺何考えてるんだろう。と悶々としたところで箒のいい一発をもらうのであった。】
●臨海学校 二日目(銀の福音戦) 編
【アニメ通りであれば一夏は福音戦で死にそうになる。かなり謎だったが怪我は勝手に治ったんだっけ?シャロンは悩む。
一夏を危険な目に遭わせたくない。
だが、それが起こって一夏は新たな形態を得るのだとも知っている。
出来ることをしようと、
①元凶である篠ノ之束博士に話しかける→「君みたいな金髪知らないよ」と聞く耳持たず→「銀の福音は」→「何の話だよ?妄想癖の激しい金髪だね」
②箒に話しかける→「大丈夫だ」
全員に聞き耳をもたれなかった。
最後に一夏に話しかけると、「ああ、確かに箒も浮き足立っているようだし、気を付けるよ」と言ってくれた。
嬉しく思いながらも、一緒に行けるだけの機能も技能もないような自分が情けなく思える。
案の定アニメ通り一夏はずたぼろ、箒も精神的に錯乱状態になって帰ってきた。
シャロンも含めた専用機持ちは何とか箒を引っ張り込んで自ら銀の福音討伐隊を結成。
銀の福音内には操縦者ナターシャ・ファイルスがいること、その位置を確認した後、作戦をたてる。
「銀の福音で問題なのがその攻撃と機動性だ。
奴の持つ『銀の鐘』は36の砲口をもつウィングスラスター。高密度に圧縮されたエネルギー弾を全方位へ射出するとともに、常時、瞬時加速と同程度の急加速が行える。最高速度は時速2450kmを超え、マッハ2以上の飛行が可能だ」
ラウラが指令官、そして近距離まで福音に近づき、慣性停止能力AICを発動して福音の機動性を封じることに。
シャロンと鈴はラウラを福音に近づけさせるために最初に突入して意識を自身に集中させる囮役兼ラウラの盾役に。
セシリアは高機動パッケージストライク・ガンナーを搭載し、遠距離射撃、後方支援を行う、シャルロットも後方支援に。
そして、動きの止まった福音に箒が機能を停止させ、ナターシャを救出するということになった。
だが、その計画は破られることとなる。
銀の鐘を破壊することには成功したが、セカンドシフトによるエネルギー翼の海中からの全方向射撃によりセシリアと鈴が墜落させられてしまったのだ。
次いで、福音に対する強い殺意と仲間がやられたことに対する深い悲しみを起こしてラウラのVTシステム稼働してしまう。黒いヴァルキリーとなったラウラは無茶な攻撃を福音にしかけ、操縦者ごと殺そうとしてしまう。必死に止めるシャロン、シャルロット、箒。
だが、福音からも攻撃され、実質二体を相手にし、それも救助対象であるということに。
何とか箒が第四世代の機動性と剣技でラウラを止めるが、深刻なダメージをスラスターに負い、飛ぶことが出来なくなってしまう。ほとんどエネルギーがないシャルがラウラをこの海域の外に連れて行くことになる。空中落下するラウラを受け止め、シャルとラウラは飛び立つ。彼女たちを狙う福音をシャロンが足止めすることに。
必死に戦うが、機体の性能差によりすぐに絶体絶命に陥る。
エネルギー翼に包まれ、視界が白く染まりつつあるときに「シャルル!」という声が聞こえた。】
「い、いちか……?」
気が付けば目の前には吸い込まれそうな青空が広がっていた。
こんなときだというのに俺は見とれてしまった。
「おまえ、けがは…」
「あー、何か治った。それよりお前こそ大丈夫か?」
エネルギーは250しかないが、俺自身には傷一つない。こくりと頷きつつ俺が現状を話そうとしたら一夏は分かっているらしい。
「じゃあ、話は早い。一夏、ナターシャさんを助けるには零落白夜がいる…エネルギー残量も少ないし、何回も攻撃の機会をくれるほど福音は甘くない。俺が福音に近づくときっと福音はエネルギー翼によるゼロ距離射撃を行おうとするだろう。動きが止まるだろうから、その間にお前は後ろから瞬間加速で零落白夜。絶対うまくやれよ」
「馬鹿か!零落白夜がお前にあたる可能性もあるし、第一お前を囮になんて…」
「大丈夫!…お前さ、みんなを守りたいって言ってたじゃん?ここで福音を止められなかったら地上にいるセシリアや鈴はどうする?箒はスラスターしか壊れていないしエネルギーがまだ残っているから次狙われるかもしれない。それに福音が陸に着いたらまた被害が広がる」
正直、エネルギー残量から考えても、俺の技能からしても無茶な作戦だと思う。
でも、お前の守りたいって気持ちを守りたいんだよ。多少無理しても。
「感謝しろよな。おいしいところとっておいてやるんだから」
今まで山ほどお前には嘘をついてきたんだ。
俺は嘘なんか大嫌いだ。
だけど、こういう嘘は…許してくれるよな?
「……分かった!」
一夏の迷いない目を見ているとそう思えた。
そこに「一夏!シャロ!」とシャルがやってきた。ラウラは無事この海域外に連れて行けたようだ。
「私じゃ…エネルギー残量がほとんどないから、大したことはできないけど、精一杯援護するよ!」
その言葉を皮切りに俺たち三人は福音への攻撃を開始した。
エネルギー翼からの弾を避けながらうまくシャルが射撃により福音の勢いを殺す。その隙をつく!
「はああぁああああ!!!!」
ランケアスを出し、フェンシングの要領で連続で突く。福音は機敏な動きで最小限の動きで避ける。別にこれで当たるとは思っていないけど悔しいな。
「シャルル?!」
翼が広がり、俺を包み込むような形に変わる。エネルギー翼の零距離射撃だ。
確かにこの攻撃は有効だが、この間なら動きを止めざるを得ない。そして、俺は…一人じゃない。
完全に囲われる前に一瞬見えた白く輝く機体。
体に無数の衝撃を受けつつ、俺は全身でそちらに叫んだ。
「いけぇええええ、一夏ぁあああ!!!」
途端に目の前が明るくなった。
福音内から出てくる金髪のアメリカ人女性。
(よかった…この人も救えたんだな…)
ここまでが限界だった。
眠るときのように意識が朦朧としてくる。
奇妙な浮遊感に、(ああ、落下している)と思いながらもこの感覚どこかで味わったことあるなと思った。
(おれがしんだときの…エレベーターのおちるかんかくと、にてる…)
このまま戻るんだろうか?
落下が止まって誰かの声が聞こえた。
「俺、確かにみんなを守りたいって言ったけどさ…その中にお前も入ってるって気付けよな。無理するから、…いっつもちゃんと見てなきゃと思うんだ」
……いつからそんなはずかしいこと言えるようになったんだろうな。
お前なんか誰かさんで十分だ。
【このままシャロンは気絶。一夏が最終回で入ったような謎の空間に行く】
何だろう、ここ。
俺の好きな青空に、鏡のように足もとには透明な水が広がっている。不思議なことに俺が歩いても水面が動くことも波紋をつくることもなかった。
見られているような気がして顔を上げると、そこには見慣れた顔があった。
「……シャル?」
濃い金髪に紫のきれいな目。白い肌に白いワンピースが似合う。
だが、少女は首を振った。俺は震える声で聞いた。
「もしかして…シャロンさん…?帰ってきたのか?」
少女は心底悲しそうに笑った。
「ううん、もう私は死んでいる。あなたが死に近づいたから、会えただけ」
いつも聞きなれている声のはずなのに、俺は固まってしまった。
だって、しんでるって。
「あの時、ナイフで刺されたとき、私死んじゃって…死ぬ間際願ったの。シャルの、妹の、幸せを。私じゃなくてもいい、代わりに幸せにしてくれる誰かがシャルの傍にいてほしいって。
そうしたらあなたが来たの」
「ごめ、ごめんなさい…」
謝るしかなかった。結局俺はシャルを幸せにすることは出来なかったのだから。
だが、シャロンさんは静かに首を振った。
「…シャルは成長した。
私は…大切に何物からも傷つけられないようにシャルを守ってきたつもりだけど、…ここから見てたよ。シャルは自分で幸せを探せるくらい強くなったんだね…。
ねぇ、玲くん。あなたはこれからどうしたい?」
「傍にいたいんだ…」
誰とは言わなかったがシャロンさんは分かったらしい。
急にはしゃいだような感じになった。
「あの人でしょー?かっこいいよね。…シャルには近づくなって思うけど!」と言うシャロンさんは恋の話が好きな年相応の女の子だった。
「……うん、行っておいで」
その声を最後に俺は青空にふわりと浮かび上がった。シャロンさんの姿が遠ざかっていく。
【起きたら何故か裸だった。心臓が止まっていたため、AEDを使った結果らしい。その場には慌てふためいたシャルと固まっている一夏、隣で眠っているナターシャさんがいた。
どうやら、福音撃退直後のようだ。あの後ぐったりした俺を見て焦った一夏が機体付属の心肺蘇生装置を用いたらしい。
固まっている一夏には申し訳ないが急いで服を着て旅館に帰還。その日の夜に一夏に全てを話す。嘘をついていたこと。データを逐一送っていたこと。それに、…母が人質にとられていること。全て。】
一夏は口をつぐんだ。
『それでも母を助けるか』『それでも俺を受け入れるか』という選択肢を迫られているのだろう。だが、すぐに言ってくれた。
「偽物だろうが名前が変わろうが、俺にとって最初からお前はお前だったんだよ。
他の奴らにしたってそうだ。みんな話したら力を貸してくれるさ。
少なくとも俺は………いつもお前に力を貰ってきたから返したい…というか支えあっていきたいんだよ」
その日初めて俺は子どものように声を上げて泣いた。
【翌日、シャルたちにも真実を話す。その上で母を一緒に助けてほしいと話す】
●母救出編
【作戦を考えている最中、実家から通信。継母ではなく、実父だった。罪の意識のあまり、母を救出したものの、今継母から追われていること。緊急で日本まで娘と息子に会うという名目で個人ジェットを飛ばしてきたので早く学園の飛行場にくるように言われる。
母を救い出せた反面、これからどうすべきか話し合おうとしたら親子水入らずで過ごせというみんなの勧めにより、病室で他愛のない話をする。
病室から出た俺に一夏が、女性として生きることを提案。
「いまさら、名乗れないだろ…」と言うシャロンに、一度シャルルは死んだことにすること、シャロンとしての戸籍は残っているのでシャロンとして再転入すればいいこと。
「じゃあ…」「お前はもう気にしないでいいんだよ。お母さんも日本で暮らせばいいし、男のふりをしなくてもいい」
また泣きかけた。
「でも、その…」
会社では全く悪い人ばかりではない。会社に帰ると継母に父さんが何を言われるか、されるか分からない。
「あー、それなんだけど、……お前がさ、社長になればいいと思うんだ」
「は?!」
「元々そう言われていた長男の『シャルル』が死んだ訳だし、代わりに『長女』シャロンが社長。そんで、デュノア社を変えていくんだ」
そこからは忙しかった。
俺は新社長として、シャルは副社長として会社を経営していくことになった。
継母勢力に反対されたりうまくいかなかったり、時には命を狙われることがありながらも必死に会社再建に向けて頑張った。IS開発の技術はないので、豊富なIS専用武器の開発、スーツの開発などに力を注いだ。
IS学園には再入学したがなかなか会社との往復の日々でみんなに会えないときが多かった。再入学をはたしたものの、学園中で事情は知っており、前と同じように扱ってくれたが。そして卒業式後。】
「お前結局進路どうするの?IS学園の特記事項ももう守っちゃくれないだろうし。就職先なら国際IS委員会やらこの学園やらあると思うけど」
「俺の進路はもう決まっているんだよ」
そう言うと一夏は笑った。いたずらっ子のようなにやっとした笑い方だった。
「…その笑い方意地悪そうだな」
「シャロンの真似なんだけど?」
「そ、そんな笑い方しないっての!…で、どこ?」
「お前の秘書」
「は、はぁ?!」
「兼 護衛」
「え、そんなの」
「要るだろ?何回命狙われてんだよ…なかなか大変だったんだぞ?お前守るのも」
「え…」
シャルが副社長として一夏を雇っていたことも、そもそも一夏が自薦したのもその後知ることになる。
「……本当にいいのか?お前の守りたい人って山ほどいるだろ?」
「一番守りたいのはシャロンだから」
俺は一夏を見た。
この二年で成長して、奴は学園中の女子から好意を寄せられるほど精悍な青年に成長した。飛行場に降りると視界が開けた。空は青く、広い。
デュノア社では二年経っても俺の経営方針に反対する奴も多い。命だってよく狙われる。
だけど、一夏といると、こんな無限の空のように広がる未来だって、自由に生きていける気がした。
「「好きだ」」
とどちらともなくつぶやき、俺たちはこれから新しいステージに向かう為に、空に飛びあがったのだった。
とんでもないご都合主義やらキンクリが発生しましたが、いかがだったでしょうか?
これが「妹の幸せを願って何が悪い!」の流れです。
本作が作者の処女作になるのにこんな終わりで申し訳ない…!
そして、ここまで読んでくださった読者様方本当にありがとうございました!
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