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「また一年が過ぎた」

うん。別作品を最後に投稿してから1年が経ったな。あちらの小説は……更新意欲が-273度くらいなんで、凍結します。

この小説は結構意欲がアリアリなんで、時間はかかっても完結までは持っていくようにします。

ちなみに作者はアリスが大好きです。
ハリー一味はそこまで好きじゃないです。
でも世界設定は気に入ってます。



少し、文や台詞を修正しました。内容はあまり変更していません。
PHILOSOPHES'S STONE
魔法使いがやってきた日
【魔法使いがやってきた日】


【アリス】

洗った食器を拭き終わり、食器棚へと戻していく。全部の食器を戻し終わると同時に、火に掛けていたポットから音が聞こえてきたので火を止め、予め用意しておいたティーポットとカップに湯を入れ暖める。
湯を捨てて、ティーポットに葉を入れたあと、再びお湯を注ぐ。このときティーポット内で葉をよく動かすために勢いよく注ぐのがコツだ。
2~3分の間、ティーポット内で葉を蒸らし、スプーンでひと混ぜした後、茶こしを使いながら、湯を捨てたカップに注ぐ。
部屋の中に紅茶の香りが充満し、その香りを堪能しながら最後の一滴まできちんと注ぎ終える。

リビングに移動してソファーに腰掛け、入れたての紅茶をゆっくり飲む。口に広がる紅茶特有の味と香りを堪能しながら、今回の紅茶の出来に満足する。
やっぱりゴールデンルールで入れた紅茶は美味しい。


ソファーに置いてあった本を手に取り、しおりの挟んであるページを開く。世界の人形と銘打たれたその本は、その名の通り世界中の様々な種類の人形について写真付きで解説されている本だ。ちなみに今見ているのは日本の人形で市松人形というもの。日本の人形は独特の雰囲気があって面白い。特にこの人形なんか夜な夜な髪が伸びるなんてどうやっているのか、とても気になるところだ。


本を読みながら今までのことを思い出す。人形屋を営む両親の元に生まれた私は、幼い頃から多くの人形に囲まれて過ごしてきた。両親の手作りの人形は多くの人に好評で、沢山の人がお店に訪れていた。
六歳の頃になると、私も人形を作り始めた。とはいえ、幼い子供の作る人形だ。決して上手とはいえないし、両親の人形とはとても比べられない。でも、そんな私の人形を両親は上手だねって褒めてくれた。それが嬉しかった私は、人形作りに夢中になった。
七歳の頃になると、人形作りの腕も随分と上達し、両親の勧めで何回かコンクールに出展もした。そしてそれらのコンクールで賞をとって、一部の人からは天才だなんて言われ始めた。
たぶん、この頃の私は純粋で無邪気だったんだろうな。その時は幸せな時間が永遠に続くものだと疑ってすらいなかっただろう。

事実、その出来事は私の予想外のものだった。
八歳の誕生日の日に、出かけていた両親の帰りを、私はリビングで人形に囲まれながら待っていた。もうすぐ両親が帰ってきて、お母さんの料理を食べて、お父さんからプレゼント貰って、ハッピーバースデーって言われて。そんな時間が来るのを待っていた。

でも、いつまで経っても両親は帰ってこなかった。
十分過ぎた頃は、遅いなぁと思っていた。
二十分過ぎた頃は、道が混んでいるのかなと思っていた。
三十分過ぎた頃は、何か嫌な予感がしたが気のせいだと思った。
四十分が過ぎ五十分過ぎた頃は、嫌な予感が大きくなったが無理やり無視した。
一時間が過ぎた頃、玄関のチャイムが鳴った。

ソファーで蹲っていた私は、両親が帰ってきたのだと思い、急いで玄関まで向かった。扉を開けて両親を迎えたら文句を言ってやる。それぐらいは許されるはずだ、と思いながら。
だが、玄関の外にいたのは両親ではなかった。黒いスーツを着た初老の男の人。たしか、両親とよく話していた人だと覚えていた私は、「お母さんとお父さんがまだ帰ってきてないんです。何か知りませんか?」と聞いた。細部は違った気がするが、大体こんな感じだったはずだ。

男の人は、すぐには口を開かず、思いつめた顔をしていた。まるで、何か重大なことを言うべきか言わざるべきか迷っているような。
そして、私が感じていた嫌な予感の正体を口にした。

「君のお母さんとお父さんが事故に巻き込まれたんだ。二人は今病院にいて、私は君を迎えにきたんだよ」

最初、男の人が何を言っているのか理解できなかった。言ってることは分かっていたと思う。でも、多分言葉の意味は理解できてなかったのだろう。
男の人は。呆然としていた私の手を引いて、門前に止めてある車へと乗せ、病院へと向かった。車の中で私の頭の中はグルグル回っていて、現状を理解しようと必死になっていた。車が病院へと着くころには、ようやく両親が事故に遭い、怪我をして病院へと運ばれたということを理解できていた。

車を降りて、男の人についていくように病院へと入っていき、医者だろうか、白衣を着た人に案内されながら奥へと進んでいった。途中男の人が医者と何かを話していたが、顔を蒼白にして俯きて話さなくなった。
薄暗い通路を歩いてゆき、一つの簡素な扉の前に到着した。医者が扉を開け部屋の中に入ると、部屋の置くにベッドが二つ並んでいて、その上には人一人分の膨らみがあった。男の人に何か話しかれられていたが恐らく私の耳には入っていなかっただろう。そして、ベッドに近付き、掛けられているシーツの端を持ってゆっくりと持ち上げられる。

そこにあったのは―――








キンコーン

玄関のチャイムが鳴る音で私の意識は現実へと戻ってきた。
嫌なことを思い出してしまった。自分の中では踏ん切りをつけたつもりだったんだけど、そう簡単にはいかないか。

現在この家には私一人しか住んでいない為、玄関へと向かう。
あの日、両親が死んだ後、多くのところから養子の話がきていたが、全部断った。この家を離れたくなかったし、同年代に比べてしっかりしていると自負している私は、一人でこの家に住みたいと言った。
とはいえ、私はまだまだ子供だ。そんなことが出来るはずもなかったが、あの日家に来た男の人が色々手を回してくれたらしく、定期的に生活支援の職員が様子を見に来るということで生活できるようになった。正直、そんなことができる男の人は何者だろうと思っていたが、去年に亡くなってしまったので、もう確かめようもなかった。



玄関に着き扉を開けると、そこにいたのはエメラルド色のローブに同じ色の三角帽子を被った老婆がいた。
1~2話は続けて投稿する主義なので、近く投稿します。

アリスは生まれと育ちはイギリスですが、両親がフランス人です。名前的にはイギリスでもフランスでもいけそうでしたが、作者のイメージでアリスはフランス系なので、このようにしました。この設定自体は活かされることはないと思います。しいて言えば、ゴブレットあたりにちょろっとでるぐらい。


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