南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)にある永興島が、中国の周辺海域の領有権を守るための「不沈空母」として浮上している。
中国本土の南端にある海南省の南東約300キロに位置する永興島は、西沙諸島、中沙諸島、南沙諸島(スプラトリー諸島)のいわゆる「三沙市」の中心地として市の施設の建設が進められている。これらの島々は、中国が領有権をめぐってベトナムやフィリピンなどの周辺諸国と激しく対立している。香港明報は17日、上海人民代表大会準備組が前日に結成され、正式に政府組織作業に入ったと報じた。
まずは市議会に相当する人民代表大会を発足させ、行政、司法部、指導部を選出する。その後、三沙市は直接選挙を通じて人民代表60人を選出し、市長、副市長、法院(裁判所)長、検察長などのトップを決める予定だ。中国政府は先月21日、三沙市の設立を決定しており、翌週には国家指導部が現地で市のプレートを取り付ける式に出席する予定だ。
西沙諸島のうち最大の永興島は、面積はわずか2平方キロだが、海まで続く滑走路が建設されている。通常は海軍の輸送機や戦闘機だけが利用しているが、ボーイング737旅客機も離着陸できる。永興島は南シナ海にある島々のうち唯一、中国の飛行場が建設されており、中華圏のメディアは「南シナ海にある中国の浮沈空母」と表現している。だがベトナムは、永興島は自国の領土だと主張しており、両国間の領有権争いが続いている。
環球時報の程鋼記者は「三沙市は『七軍三民(軍が70%、民間が30%)』で構成される予定。中国の海洋領土の主権を守ることと、外交闘争の面で、重要なとりでになるだろう』と語った。