今月16日、反原発集会が行われた東京都心の代々木公園は、足の踏み場もないほど多くの人でごった返した。6万人程度が参加するとみられていた当初の予想を大きく上回り、17万人(主催者側の推計)が集まった。大学生など若年層に比べ、ベビーカーを押した主婦たちや高齢者が多かった。昨年3月に福島第一原発事故が発生した直後、ドイツなどで数十万人が参加し反原発デモを繰り広げたが、当事国の日本では最近まで、大規模なデモが行われることはなかった。日本はやはり「デモのない国」と評する声が出た。
ところが、日本政府が先月初め、関西電力大飯原発の再稼働を決定したことで、ムードが変わった。日本が「デモのある国」へと変貌したのだ。とりわけ、東京都心の首相官邸周辺で毎週金曜日の夜に行われる反原発集会の参加者は、3月に始まったときには数百人程度だったが、先週には数万人(主催者側の推計では15万人)にまで増えた。多くの人が集会に参加し、周辺の官庁街をも埋め尽くすほどだった。これほどまでの大規模なデモは、1960年の日米安全保障条約改正と70年の同条約自動延長に反対した「安保闘争」以来のことだ。70代のある参加者は「40年前のデモを思い出させるほど熱気が漂っていた」と話した。
だが、デモのやり方は安保闘争当時とは大きく異なっていた。最も大きな違いは「秩序」と「非暴力」だ。かつての安保闘争では、東京大の女子学生が圧死する事故が発生し、鉄パイプや火炎瓶が飛び交った。今回の反原発集会の参加者たちは、このような過去の歴史をよく知っているようだった。主催者側は秩序の維持に努め、許可されたデモの時間が終わると、参加者たちに早く帰宅するよう呼び掛けた。参加者たちはデモ行進の際にも、警察の統制に素直に従った。首相官邸周辺や代々木公園で行われた集会で、問題は1件も起こらず、逮捕された人もいなかった。数万人の群衆が首相官邸を取り囲んだが、官邸への突入を呼び掛けるなどの扇動的な発言はなかった。ただ「原発を止めろ」と繰り返し叫ぶだけだった。
安保闘争当時のデモ隊の手には火炎瓶や石が握られていたが、今はスマートフォンに変わった。参加者たちは写真や動画を撮影し、デモへの参加を呼び掛ける文章と共に、簡易投稿サイト「ツイッター」に投稿した。朝日新聞は18日「(デモ参加者は)礼儀正しく、冷静ながらも執拗(しつよう)だった。これは前例のない革命だ」と報じた。数万人規模のデモが、秩序を維持し、整然と行われたという点で、革命的だというわけだ。一部では今回のデモを、アラブ世界での「ジャスミン革命」になぞらえて「アジサイ革命」と呼んでいる。
アジサイ革命は政界にも影響を与えている。民主党を離党した3人の女性議員が17日、原発の再稼働に反対する新会派「みどりの風」の結成を宣言するなど、反原発の動きが広がっている。