お待たせしました。2話投稿です。
今回は隼人の能力が明らかになります。
「「「「「うらあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」」」」
俺が宣言すると、レストラン内にあらゆる感情の籠った咆哮が轟いた。
その声が発せられるより速く戦闘体勢に入っていた俺は、右腕を不良共の方へと向ける。
しかし、俺はその右手から何らかのエネルギーを放出しようとしているわけではない。あくまで目の前にあるモノを『掴む』だけだ。
右手で握り拳を作ると、何も無かったはずの手の平にギザギザと揺れる波動のような物質が現れた。
いや、波動という表現は間違いではなく、通常なら見えないはずの紫外線や赤外線、見えはするが触れられないはずの電光、辺りに漂う酸素や二酸化炭素などの空気を混ぜ合わせ、それを一点に収束したモノを『握っている』のだ。
こんな事、普通の人間にはできない。
だが、俺は学園都市の人間だ。普通の人間とは違う。
そもそも能力者だらけのこの学園都市には普通の人間などどこにもいない。
それは俺も例外ではなく、俺にも特別な能力が宿っている。
俺の能力は高能力(レベル4)の波動調律で、この能力があればあらゆる波動を探知、視認、そして触れる事ができ、さらに形状の変化も行える。
そして先ほど俺が行なった行為は、『このレストラン内にある、あらゆる波動を手元に集めた』である。
それをさらに原型が無くなるほど歪め、形状を剣のように鋭くする。
そして出来上がったのは、剣としては歪で、波動としてはあまりに不恰好な、滑稽な形状の武器が出来上がった。
こんなもの使ったところでどうなる、と端から見た者ならそう言うだろう。
しかし、案外こんな武器でも使い道があるものだ。
紫外線は人間の皮膚を傷付けるし、電光は目眩ましとして使用できるし、二酸化炭素は呼吸困難で人を死に追いやる事ができる。
あらゆる物質を一纏めにしたのだ。全く無意識なわけがない。
それに電柱から発せられる熱度も密集しているので、金属類を溶かす事もできる。 無論、今、不良共が手にしているバットやナイフ、チェーンソーなども例外ではない。
あらゆる波動を収束させて造り上げた剣(略して波動剣)を縦に一振りし、向かい来る不良共に気圧されないように構える。
ひとつひとつの動作を見切り、前後左右から降ってくる凶器の全てを避け、あるいは波動剣で防ぐを繰り返す。
反撃したいところだが、今はその時ではない。
狙うは不良共全員が体力を使い果たし、疲れ果てた頃だ。
不良共の襲撃はまだ終わらない。
上からはバットが振り下ろされ、後ろからはナイフが振りだされ、正面からはチェーンソーが凪ぎ払われる。
その全てを波動剣で防ぎ、避け、反撃の時を待つ。
そして反撃の時は来た。
不良共の動きが少しずつ遅く、鈍くなってきているのが分かる。
先ほどまでの攻撃はギリギリで対応していたが、今では余裕とは行かないものの、先ほどよりはスムーズに対応できている。
そろそろか?
不良共は俺を囲い、次々とそれぞれが持つ凶器を振り回してくる。
俺はそのうちのチェーンソーを持った男に向かって波動剣を一薙ぎする。
疾風の如く素早い一薙ぎはチェーンソーの刃を捉え、回転している刃と刃の隙間に衝突した。
学園都市の外部にあるチェーンソーはコードなどが必要になる事が多いが、学園都市のチェーンソーは完全に電子のみで構成されている。
そして太陽電池によって充電を補充し、モーターとエンジンによって作動する仕組みだ。
しかし、それを裏返せば、波動剣に含まれた電子的なエネルギーによって干渉できる事を意味している。
俺は波動剣の構成を変化させ、その中に含まれた電子エネルギーだけをチェーンソーの太陽電池の隙間から侵入させる。
チェーンソーの内部全体に電子エネルギーを流し、電子命令を遮断する事で停止。
動きが止まったチェーンソーはただの使いにくい刃と化し、波動剣を斜めに振り払う事でチェーンソーを地面に叩き落とす。
「―――ッ!?」
何が何だか全く理解できずに茫然としたままの男を蹴り飛ばし、その軌道上にいた不良ごと巻き込んで、吹っ飛んだ先にちょうどよくあったテーブルの角に背中や頭が直撃し、気絶した。
反撃とばかりに、後方にいた男が細い金属バットを上から振り下ろそうとするが、それを波動剣で右に逸らし、右足を男の顎に食らわせ、吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされた男は宙を舞い、着地点に居た男と激突し、気絶した。
そうやって何度も繰り返し似たような事を繰り返していると、いつの間にか不良共の人数が十人にも満たないほどまで少なくなっていた。
数えると、その数は大体5人か6人そこらで、それほど多くはない。
さて、そろそろ一気に片付けるか
波動剣に使っている演算を停止し、右手から波動剣を消滅させると、代わりとして店内に広がる電光を左手に収束する事で光の球を作り出した。
さらに常人には聞き取れないあらゆる場所から発生している超音波、不良共が走る際に鳴る足音、凶器を振り回す時に鳴る空気を切る音なども光球に纏めて収束させた。
そうしてできあがったのは、青や赤、黄などの、数えきれない色彩の光を放つ球体で、スタングレネードに近い現象を引き起こす。
それを不良共が集まっている中心部に投げ込む。
光球は放物線を描きながら不良共が屯している中心部に飛んでいき、ほとんどの不良共の視界に入った瞬間、閃光と雑音を伴って破裂した。
腕で閃光を防いだ奴もいたが、ほとんどの奴らは強烈な光と雑音を受け取り、目眩や難聴によってバランス感覚を失った事で気絶していった。
いかがだったでしょうか。
鋼鉄変換についてもう少し解説しましょうか。
鋼鉄変換とは、あらゆる物体を触れている間だけ金属に変換する能力です。
その原理は物体を構築している元素の配列を変更し、金属と同じ物質に変換する事です。
手に触れている物ならほとんどの物質を鋼鉄に変換出来るが、自分以外の人間は鋼鉄化出来ません。
元々金属の物質は形を変える事が出来ます。
これの弱点は熱です。
熱を受けた場合、強制的に能力を解除されます。
因みに変換していられる時間は強度によって変わります。
まぁ、鋼鉄変換についての説明はこれでおしまいです。
あと今回の物語は物凄い無理矢理だと思いますが、作者がバカという事で許して下さい。
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