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この作品を手にとってくれた(?)読者の皆様。
ありがとうございます。

僕にとって一番最初の作品となりますが、色々と注意点があります。

それは二次創作作品だという事です。


とある魔術の禁書目録という、最近流行りのライトノベル作品、アニメや漫画にもなったあの作品をモデルとしています。


ですが、重複する部分は科学サイドだけなので、そこも覚えておいて欲しいです。

禁書目録の学園都市を舞台に主人公が色々と動きます。はしゃぎます。叫びます。

まぁ、それらはまず見て頂いた方が早いでしょう。

それでは始まり始まり~
起の章
†序章† 影三つ



 静まり返った狭い裏路地を、三つの影が通り抜けた。

 そのうちの二人は大人の男女ペア。
 彼らは後方を走り、前を走るただ一人の少女を、男性は謎の烙印が刻まれた札を持って、女性は鋭い二刀の短刀を振り回しながら追跡している。

 一方、少女の方は何も手に持っていない。
 全体的に紫色で、ところどころに多種多様の色彩に塗り潰された紫陽花が飾られている浴衣を見にまとっているだけだ。

 これではあまりにも力量に差がありすぎる。

 少女は浴衣の裾が足に引っ掛からないように意識しながら、闇夜に沈んだ暗い裏路地の道を駆け抜ける。

 攻撃が降ってこない隙に後方を視界の端に入れると、その直後、後方を走る女性の右手が斜め下に降り下ろされるのを確認した。

 その手に握られたやや短めの刀が地面に突き刺さる。

 しかし、前方を走る少女には傷どころかかすりすらしていない。

 距離が離されているから当然の事だ。

 当たらないとは分かりつつも、当たらなかった事に少女は安堵する。

 しかし、安心するにはまだ早かった。

 刀が地面に直撃したその刹那、月明かりに照らされた刀の影が、剣によって、切り取られたかのように浮き上がり、衝撃波となって少女を襲い掛かり始めたのだ。

 漆黒の刃と化した衝撃波は、縦向きのまま少女の元へと飛んでいく。

 空気を抉るように突き進み、漆黒の刃は少女の背を切り裂いた――


――かのように見えた。

 それは一瞬の事だった。

 直撃する寸前、真っ二つに切断されるはずだった少女の肉体が鈍く発光したのだ。

 同時に漆黒の刃は鈍い光に弾かれるように消滅し、人外の力が働いたのか、少女の背後から、反撃と言わんばかりに見えざる透明の波動が放たれる。

 地面を震わせるほどの強いエネルギーが、少女を追跡する男性と女性に迫る。

 ゆうに音速の三倍を越える速度であったため、反応しきれず、男性と女性はそれを素直に受けるしかなかった。
 少女は自分自身でも何が起きているか理解できていない様子で、口を開けたまま驚愕していたが、謎の波動を受けて意識を失った男女二人を見るや、暗闇の中に沈んだ裏路地の奥へと走り去って行った。









         *



 あれからゆうに数時間は経っただろうか。

 微睡みの中に沈んだままだった二人の追跡者が目を覚ます。

 男性は数キロを越えるダンベルを持ち上げるかのような感覚で重い腰を上げて立ち上がり、女性はスポンジでも持つような感覚で身軽な身体を立ち上がらせる。

 二人の追跡者は追跡対象である例の少女を探すべく、不審には見えない程度に視線をあちらこちらへと向けたが、いかんせん、あれから数時間以上も経っていては近くにあるはずもない。

 視界に映ったのは、月明かりに照らされた裏路地の道と夜空に浮かぶ星、そして建物の壁だけだ。

 裏路地の奥は深淵の闇のように暗いせいで何も見えない。



「これから……どうしましょうか」

 暗闇に溶け込んでしまいそうなほど小さな声で、女性は呟いた。

「さあ、分からない。ただ、あの子を追い続けていて良いのかと、最近思い始めたよ」

「上司の命令とは言え、小さな子供を追い回すのは気が退けますね」

「そうだな。それにあの子はただの子供じゃない。俺達にとって必要で、かけがえのない存在だ。気が退けるどころの問題ではない」
 一度間を起き、男性は続ける。

「上に逆らってでも守り通したいところだが、あの人にも恩義はある。そう安々と反抗などできないしな」

「同意見です」


 そこで一度会話が止まる。

 数秒か数分か、詳細は分からないが短い間の沈黙が続く。

 どれほど時が過ぎたか分からないが、長くない微かな時間が過ぎた頃、男性が先に沈黙を破った。


「それよりまずこの街から脱出しよう。誰かに見付かると厄介だ」

「そうですね。あの子の捜索および追跡は後ほどでも行えますから。見つかって捕まってしまえば目的もなにもありませんし、ここはあなたの意志に従いましょう」

「それじゃあ、転移忍術を頼む」

「了解」

 短い会話の末、女性は背中に納めてある短刀を両手で引き抜いた。

「それでは……いきます」


 囁くような小さい声で合図し、女性は風に舞う木の葉のように回転し、嵐にも似た暴風と桜吹雪を伴って、一瞬の間に裏路地から姿を消した。


いかがだったでしょうか。

とりあえずこれが一話…というか始まりです。

最初から裏側から始まるのはどうかと考えていたのですが、まぁ良いでしょう。


実を言うと、次の話も最初から逃走シーンになります。

主人公視点から始まる事を覚えておいて欲しいですね。


それでは次回をお楽しみに~


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