ニュースランキング

'12/7/10

11都道府県に逆転拡大 最低賃金が生活保護下回る


 地域別最低賃金で働いた場合の収入が、生活保護の給付水準を下回る「逆転」地域は11都道府県で、2011年度の最低賃金改定時と比べ、8都府県増えたことが10日分かった。厚生労働省が同日、中央最低賃金審議会の小委員会に示した。

 社会保険料の増加で手取り収入が減ったことなどが影響した。生活保護の給付水準が賃金より高いと労働者の働く意欲をそぎかねないため、政府は逆転の早期解消を目指す。

 労使の代表者らが参加する同審議会で12年度の引き上げ幅の議論を進めているが、逆転地域をどれだけ減らせるかが焦点だ。生活保護の受給者数が過去最多を更新し続けており、給付の抑制が課題になっている。

 新たに逆転が判明したのは青森、埼玉、千葉、東京、京都、大阪、兵庫、広島。北海道や宮城、神奈川と合わせ計11都道府県となった。

 都道府県ごとに決まる地域別最低賃金は時給で示され、全国平均737円。同省が最新のデータで試算し、逆転は収入から社会保険料などを引いた手取り額と、生活保護の給付水準を比べ判断した。

 生活保護のうち家賃などの住宅扶助費が増え、給付水準が上昇。一方、健康保険や雇用保険などの社会保険料の増加で手取り収入が減り、逆転拡大を招いた。

 冬の暖房費の影響で給付水準が高い北海道は、逆転解消に必要な最低賃金の引き上げが時給30円と最大。東京20円、宮城19円と続いた。審議会は、逆転は発生から原則2年以内に解消すべきだとしているが、賃金引き上げが大幅になる場合などは例外として期間延長を認めている。

 経営者側は、賃金を大幅に上げると経営を圧迫し、雇用縮小を招きかねないと反発する。審議会は7月末ごろに最低賃金の引き上げ額の目安を提示。地方の審議を経て10月ごろに改定される。




HomeNextLast