はじめに過日の東日本大震災により、子どもたちを含めた多くの方々が亡くなられたこと、また、広範囲にわたり被災されたことに対し、心から哀悼の意を捧げるとともに、お見舞いを申し上げ、一日も早い復興を願っています。
日頃、皆様には日本PTAに対するご理解とご協力を賜りますこと、心から御礼を申し上げます。また、この度の大震災に対する第一次義援金の呼びかけに対し、速やかなご協力をいただき、2億円を上回る浄財を頂きました。重ねて御礼を申し上げます。これからも引き続きのご支援をお願いいたします。
さて、日本PTAでは、将来を担う全国の子どもたちが心身ともに明るく健やかに成長することを願い、"子どもたちが安心して楽しく学べる環境作り・単位PATを中心とした活動を支えていくこと"を念頭に置きながら、活動を進めてまいりました。
平成22年度は、きめ細やかな教育を求める少人数学級の推進・教職員の増員、ケータイ・インターネットのフィルタリングや悪質プロバイダーへの規制強化の要望、公益法人移行への検討に加え、有害雑誌の店頭販売改善、子どもに夢を与える事業や地域社会との連携推進を掲げ取り組んでまいりました。
そして、これらの目標に対する活動は、少しずつではありますがその成果が形になりつつあると感じておりました。
そのような折、日本を大きく揺るがす大災害が発生し、私たちの会員を含む多くの方が亡くなられました。現地を視察したときの惨状は言葉になりませんでした。
被災地の会員皆様のご意見・要望をお聞きしながら、日本の将来に対し保護者として日本PTAとして、どのような協力により子どもたちの教育環境を取り戻すことが出来るのかを考えさせられました。
今わが国は、政治・経済の混迷が進むとともに複雑な社会問題も絡み、先の見えない不確定な社会となっています。私たちは多くの情報が混在する中で、めまぐるしい社会の対応に追われています。子どもたちはそうした日々の中で、常に心が揺らぎ、不安を抱きながら成長しています。この度の大震災による被災地の子どもたちは、私たちには計り知れない多くの不安を感じていることでしょう。
知性と心の成長はその時そのときの相乗作用を得ながら形成されるものであり、後から補うことは難しいものです。自信と希望を与え自主性を高め、信頼に満ちた豊かな心を育くむためには、きめ細やかな愛情に支えられる温かい環境が必要です。
この震災により、子どもたちの"生きる力"を育み支える、新たな教育力・地域力が問われているような気がします。
被災された皆様方の痛みを感じながら、今こそ日本PTAが提唱している"教育の原点は家庭から"の理念を大切に、将来を担う子どもたちに笑顔と希望を与える活動を、一人ひとり心の通う丁寧な活動を、強く推し進めようではありませんか。
社会を形成する基盤は教育であり、子どもたちは日本の大切な「財産」です。
日本PTAはこれからも1,000万会員皆様の気持ちを聞きながら、子どもたちのためにより良い教育環境を求め活動していく所存です。
PTA会員皆様のご理解・ご協力を宜しくお願い申し上げます。
社団法人日本PTA全国協議会
会 長 相 川 敬