【第692回】 2012年7月18日
さらに、国際入札に先立って東電が行っているスマートメーターの実証実験でも、「必要がない」(ITメーカー)とされる約90億円の高コストの管理運営システムを導入する動きまで見せている。
原賠機構は「無駄な出費はさせない」姿勢だが、参入をもくろむメーカーからは「実証実験自体を4月時点でやめさせるべきだった」との声も漏れ聞こえてくる。
ようやく新体制の船出を迎えた東電だが、廃炉や賠償に取り組むために、最初の正念場を無難に乗り越える必要がある。
しかも、問題は他の電力会社にも波及している。今夏の節電に備え、関西電力は約50万台のメーターを発注しているが、これが「東電より高く、独自仕様の代物」(メーカー幹部)だ。メーターの仕様が電力会社ごとに異なれば、電力改革の本丸である「自由化」に影響が出る。経産省と一体となった一貫した改革が求められる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)