大津市立中学2年の男子生徒(当時13)が自殺した問題で、学校が全校生徒約860人に実施したアンケートの回答で、約150人が「悩みに気づけなかった」という自責の念や心の葛藤を記していた。いじめの問題を自らのことととらえ、再発防止を誓う記述も数多く見られた。
■「気づかず、情けない」
学校は生徒の死の背景を探るため、自殺6日後の昨年10月17日から3日間、全校生徒にアンケートを実施した。多くは無記名だが、8割の生徒が回答した。
自由に記述できる設問は3問あり、「自身のことで相談したいこと」「亡くなった生徒についての気持ち」を尋ねた記入欄には、回答者の2割以上の約150人が自責の念や葛藤する思いをつづっていた。
いじめに気づいていた生徒は「自分も見て見ぬふりをしていて、これも立派ないじめと気づいたときは、本当に申し訳なかった」と書いた。別の生徒も「今になって、『あの時、もっと真剣に受け止めて心配してあげればよかった』と後悔しています」と記した。
小学校で4年間、クラスが一緒だったという同級生は「気持ちに気づいていれば」と後悔の念をつづり、別の生徒は「こんなに思い詰めてる人が近くにいたのに、気づかなかった自分が情けない」と記した。
自らの悩みを告白する記述もあった。ある生徒は「このごろ、ある友達に悩まされています。仲が良かったのに、急に避けられたり……」と打ち明けた。思い詰める前に「相談できる人はいなかったのか」という問いかけも目立った。
一方、回答には「二度とこのようなことが起きないように、少しずつ身近なところから考えたい」「友達の異変には気づいてあげられるように努力します」と、いじめを繰り返さない決意も多くつづられた。
小学校時代にいじめられた経験があるという生徒はアンケートに「『生きてはいけないのか、死ぬべきか』と同じ経験をしたことがありました。(自殺した)生徒の気持ちはよくわかります。私たちができることを考えていきたい」と再発防止を誓った。
中学校では生徒の死後、生徒会を中心にいじめをなくすための活動が始まった。生徒同士で問題を解決しようと、悩みを書いたカードを校内に掲示。それを見た生徒が、自由に書き込むという「アドバイスカード」を取り入れた。
いじめを受け止める思いは、今でも生徒に残っているようだ。9日、亡くなった男子生徒と幼なじみだったという生徒が取材に応じ、「学校に行けなくなったとき、『大丈夫か』と心配し、家まで来てくれた。明るい性格で、いつも笑っていた。いじめに気づかず、話を聞いてあげられなかった」と悔やんだ。(八角健太、大坂尚子)