意外と知られていないスタートアップのプレーヤー「Rocket Internet」について調べてみたのでご共有。
Rocket Internetとは?
ロケット・インターネットはドイツ拠点のインキュベーター。
シリコンバレーの最新ビジネスモデルをコピーし、主にヨーロッパとアジアで展開し、サービスを売却し利益を上げる、というビジネスモデルを取っています。
徹底した「クローン」の展開に対しては批判的な見方も多く、「アレクザンダー、オリバー、マルクのSamwer三兄弟は、ヨーロッパにおけるコピーキャットの王となっている(Economist誌)」「AirBnBが「クローンの攻撃」の最新の被害者となった(TechCrunch)」などと評されています。
とはいえ、彼らのビジネスパーソンとしての手腕は目覚ましく、1999年にはeBayのクローン「Alando.de」を5,400万ドルで売却、2004年にはJambaをVerisignに2.73億ドルで売却、2007年にはFacebookクローンの「Studivz」を1億ユーロで、2010年にはGrouponクローンの「MyCityDeal」をGroupon自身に1億ユーロで売却しています。LinketinやFacebookへの投資も行っています。
以下、彼らの代表的なクローンサービスをご紹介。
Pinspire
日本語化済みのPinterestクローン。
GlossyBox
化粧品の定期購入「BirchBox」クローン。こちらは日本法人も展開しています。広告も結構出しているようで、それなりに資金が投下されている印象。積極的に採用も行っています。
Wimdo
AirBnBクローン。昨年7月に日本上陸しましたが、事情に詳しい方いわく、本国からの経営判断で日本は撤退することになったとか。こちらも当時はそれなりの予算を掛けてマーケティングしていたことを記憶しています。
DropGift
ソーシャルギフトのWrappクローン。今年3月に日本上陸しています。
Plinga
Zyngaのクローン。名前もちょっと似てますね。
Amazonクローンたち
Amazonクローンも色々展開しています。特にインドネシアのInfibeamの昔のロゴは、完全にAmazonそっくり。中東ではMizado、東南アジアではLazadaを展開。
Zapposクローン
Zalandoなど、靴の通販で有名なZapposのクローンも多数展開しています。日本だと「ロコンド」がロケットインターネットによる(Rocket Internetが株式会社ジェイドに出資)クローンサービスとして展開されています。
Payeleven
最近加熱している決済系スタートアップにも参入。
Baramang
デザイナーズグッズの販売で成功したFab.comのクローン。
GigaOMが最新のリストをアップデートしてくれています。より詳しく知りたい方はこちらをぜひ。現時点で、58カ国、38のクローン企業が展開されているとのこと。
クローンサービスの是非については、議論が分かれるところでしょう。モラル的にはアウトだと思いますが、彼らのビジネス的な成果は有無を言わさぬインパクトがあります。また、ウェブサービスの世界には「アイデア自体に価値はない」という価値観もあるように感じます。何より彼らの手法は、法的には問題がありません。
皆さんはこうしたクローンサービスについてどう思いますか?模倣は歓迎すべきことなのか、法的に規制すべきなのか、そもそも規制が可能なのか、議論する価値があるテーマだと思います。
僕は個人的に「規制は不可能」と考えるので、この手のクローンはある種の必要悪だと捉えています。クローンが生まれることで、コピー元のサービスの市場規模が拡大するので、悪影響ばかりでもないでしょう(例えば、Wimduのおかげで、AirBnBは日本進出の下地が幾分耕されたでしょう)。