ハエトリグモ
家の中の小さなクモ
腐食した鉄筋が膨張して、その周りのコンクリートが剥がれ落ちる。そんなボロアパートに私は住んでいる。ボロアパートは台所の床もボコボコしていて、ところどころ床板が捲り上がっている。なわけで、部屋と外部との隙間があちらこちらにある。
外部との隙間があるとゴキブリがいつでもやってきそうだが、部屋の中でゴキちゃんと出会うのは年に2、3度しかない。たぶん、殺虫剤のごきぶり団子のお陰だと思う。その効果が薄れた頃に、ゴキちゃんは侵入してくるのだと思われる。
先週紹介したゴキブリキラーのアシダカグモは、ゴキブリがたまにしかいない私の部屋には滅多にやってこない。それはまあ、理解できる。ところが、私の部屋には小さなガやコバエ、アリなどがほぼ常時いるのに、何故だかハエトリグモがいない。不思議。
私がハエトリグモに嫌われている、なんとことはけして無い。職場の私のデスクの周りにはほとんど常にハエトリグモがウロチョロしていて、まれには、マウスを動かす私の手にちょこんと乗っかったりもするのだ。キョロキョロ目玉の可愛い奴なのだ。
ハエトリグモはハエだけを餌にしているわけでは無い。私は職場で、私のデスクのすぐ傍で、アダンソンハエトリがアリを捕獲する瞬間を目の前で見たことがある。その時は思わず、「おっ、やったね、お見事!」と褒めてあげた。
チャスジハエトリ(茶筋蠅取):クモ目の節足動物 →写真
ハエトリグモ科 日本全土に分布 方言名:クブ
ハエトリグモが広辞苑にあり、蠅取蜘蛛という字があてられている。「巧みに跳び、ハエなどを捕食」ともあるので、名前の由来は字の通りであろう。
ハエトリグモはハエトリグモ科のクモの総称で、本種もその一種。下記のアダンソンハエトリとともに、屋内でよく見かけるクモの一つ。テーブルの上から壁へ、壁からパソコンの上へとよくジャンプする。ジャンプしてハエなどを捕食する。
体長は雌11ミリ、雄9ミリ。目が大きいのが特徴。網を張らない。
アダンソンハエトリ(アダンソン蠅取):クモ目の節足動物 →写真
ハエトリグモ科 体長:雌8ミリ、雄6ミリ 方言名:クブ
名前の由来、ハエトリはチャスジハエトリに同じ。アダンソンについては不明。
体長は雌8ミリ、雄6ミリで、チャスジハエトリよりやや小さいが、雄は白黒模様(雌は茶褐色とのこと、私は未確認)がはっきりしていてよく目立つ。屋内でよく見かけるクモの一つ。目立つせいか、チャスジハエトリより多いように感じる。
網を張らず、壁や床を這い回り、ジャンプして、ハエ、アリなどを捕食する。
記:ガジ丸 2010.3.16 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行