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背振山地は好適地 リニアコライダー国際研究者ら視察 | ||
素粒子物理学の巨大実験研究施設「国際リニアコライダー」(ILC)の国際的な研究者グループ約60人が22日、国内候補地となっている佐賀県の脊振山地を視察した。施設は強固な地盤が重要な条件で、研究者たちは岩盤をハンマーでたたいて確認、「好適地」と高く評価した。 ILCは、地中に約30キロのトンネルを通す巨大実験装置。電子と陽電子を光に近いスピードまで加速して衝突させ、宇宙誕生の瞬間(ビッグバン)を再現する。 視察したのはILCの核となる測定器の国際的研究者グループで、23日から福岡市で開かれる国際会合に出席するために来日。佐賀大学の杉山晃理工学部教授らも同行し、唐津市厳木町にある九州電力の天山揚水式発電所と同市七山の観音の滝の2カ所で強固な地盤を確かめた。 発電所は地下約500メートルに作業用トンネルがあり、「ILCのトンネルのイメージに似ている」(杉山教授)として視察。研究者は直径5メートルほどのトンネルを歩き、むき出しになっている岩盤をハンマーでたたいて調べた。観音の滝にも岩盤が地表に露出している場所があり、同様に研究者が岩盤の固さを確認した。 視察したフランス人の男性研究者(42)は「岩盤が固く、良い状態といえる。欧州には既に別の素粒子研究施設があるため、個人的には日本にできることはいいことだと思う」と話した。 ILCは、世界の研究者が共同して進める国際プロジェクト。誘致できれば地域が国際研究都市になるなど大きな波及効果も見込まれるため、注目を集めている。国内では佐賀、福岡両県が推進する脊振山地と北上山地(岩手県)の2カ所に絞られている。 候補地選定のスケジュールは未定だが、今年中に研究施設の柱となる加速器と測定器の設計が完了する見込みとなっている。 |
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2012年05月23日更新 |