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気仙沼漁港、水揚げスペース不足 使用可能、4割届かず
 | 鉄板を敷いて仮復旧させている気仙沼市魚市場の岸壁 |
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東日本大震災で被災し岸壁の復旧工事が進む気仙沼漁港で、主力の戻りガツオ、サンマ漁の最盛期に向け、漁業者から水揚げスペースの不足を懸念する声が上がっている。気仙沼漁協は本年度、震災前の6割まで水揚げ量を回復させたい考えだが、使用可能な岸壁は震災前の約4割にとどまる。宮城県と漁協は、これまで水揚げに利用していなかった岸壁の活用も視野に対策を検討している。
気仙沼市魚市場に面した水揚げ用岸壁約1000メートルのうち現在、使用可能なのは約370メートル。かさ上げ工事が行われた市場構内との段差を解消するため、鉄板を敷いて仮復旧させている状態だ。 国は本年度、残る約630メートルのうち津波で大きく損壊した南側440メートルを除いた部分について、復旧工事に着手したばかり。 漁協などによると、戻りガツオやサンマの水揚げが本格化する9月から10月にかけ、使用可能な岸壁が広がる状況にはなく、逆に工事に伴い使用できないスペースが増える恐れもあるという。 気仙沼漁協は本年度の水揚げ目標を、昨年度のほぼ2倍の5万9300トンに設定。震災前の6割まで回復させる考えだが、それも岸壁があればこその数字だ。 水産庁は「入船数が増える最盛期は工事を避けるなど、漁業者と調整したい」(整備課)と話している。 ただ、気仙沼漁港では水揚げ後や出漁準備のための係留スペースの不足も既に深刻。遠洋マグロ船を所有する勝倉漁業の勝倉宏明社長(44)は「次の出漁準備をする場所も限られている。岸壁は早期に復旧してほしいが、同時に水揚げスペースの確保も大切。悩ましいジレンマだ」と語る。 県は、これまで水揚げに利用していなかった気仙沼湾北側のコの字岸壁(同市魚浜町)など、近隣の施設の活用が可能かどうか、関係機関と協議を進めている。 震災がれきの搬出などに使用されている湾南部の商港岸壁(同市朝日町)も「貨物船の停泊が原則だが、空いている場合は漁船の一時係留を認める」(県気仙沼土木事務所)との方向で、岸壁不足の解消を図ろうと知恵を絞っている。
2012年07月18日水曜日
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