書ちゃ食ちゃ寝:過疎地という差別 /青森
毎日新聞 2012年07月12日 地方版
原発はなぜ過疎地にあるのか。そこが貧乏だからではない。実は、原発を作れる場所には国のルールがあるのだ。周囲が非居住区域である▽その外側は低人口区域である▽人口密集地から離れている−−。これを「原子炉立地審査指針」という。
弘前市であった東北弁護士会連合会定期大会で、京都大原子炉実験所の小出裕章助教の講演を聞いた。小出さんは「国のルールは本来、国民の権利を等しく守るもの。それに抵触している」と指針を厳しく批判した。
事故の被害者はなるべく少ないほうがいい。だから都会ではなく過疎地に作る。ではそこに住んでいる人はどうなるのか。東京電力の原発事故で犠牲になったのは東京ではなく、福島の人だ。これを「差別」と言わずして何だろう。【酒造唯】