首長違法支出:請求権放棄議決、無効判断は個別で…最高裁
毎日新聞 2012年04月20日 21時35分(最終更新 04月20日 22時09分)
◇4件差し戻し、1件は棄却
住民訴訟で首長による違法支出が認められた後に、議会が首長に対する損害賠償請求権などを放棄する議決は有効か否かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は20日、「議決は議会の裁量権に基本的に委ねられている」とした上で、裁量権の逸脱で無効となる判断基準を「個々の事案ごとに、(問題となった)支出の性質や内容などの事情を総合考慮すべきだ」との初判断を示した。
上告審判決は5件の訴訟が対象。外郭団体への補助金支出を巡って神戸市の住民が起こした4件のうち、約55億円の返還を市長に求めるよう市に命じた大阪高裁判決は破棄して請求を棄却し、住民側の逆転敗訴が確定した。残る3件と、大阪府大東市の住民が起こした1件は、議決の違法性について審理が尽くされていないとして、1審や2審に差し戻した。東京高裁で住民側が勝訴した栃木県さくら市(旧氏家町)の住民訴訟は23日に判決が言い渡される。