シリア:米大統領 ネット監視技術提供に制裁の命令
毎日新聞 2012年04月24日 10時33分(最終更新 04月24日 13時13分)
【ワシントン白戸圭一】オバマ米大統領は23日、携帯電話やインターネットを監視する技術をシリアやイランの政府に提供している企業・個人に対し、金融制裁などを科す大統領令を発令した。反体制派弾圧を続けるシリアのアサド政権と、その後ろ盾とされるイラン政府への圧力強化の一環で、米政府は「両国の反体制派が直面する『電子的カーテン』に風穴を開ける試み」と強調している。
大統領令に基づく制裁では、シリア、イラン両政府によるインターネット接続の遮断や監視、電話の盗聴などを通じた反体制派の動向確認に関与したり、関連技術や製品を両政府へ売却・貸与した企業・個人の米管理下の資産が凍結される。こうした企業に関係する人物の米国への渡航も禁止される。
中東・北アフリカの民主化運動では、米交流サイト「フェイスブック」などのソーシャルネットワークによる情報交換が反政府デモの組織化などで威力を発揮した。だが、米政府は、シリア、イラン両政府が携帯電話やインターネットを盗聴・監視し、反体制組織の所在地を特定する能力などを急速に向上させているとして、危機感を強めている。