福島原発事故を受けた、エネルギー戦略の抜本見直し論議が大詰めを迎えた。
とはいえ、政府が争点に掲げているのは、原発依存度の選択肢だけ。3つのうち、比較的賛同を得やすい「2030年に15%」という原発依存度に世論を落とし込んで、不都合な真実や厄介な問題は素通りしようという無責任な姿勢が透けて見える。
その背景に、何よりも原発の早期再稼働を最優先しようという意図も垣間見える。
しかし、それでは、福島原発事故の貴重な教訓はまったく活かされない。むしろ、大切なのは、まず、福島事故の処理(賠償、除染、廃炉)に必要な国民負担の実態を明らかにしたうえで、新たな原発賠償保険の制度、安全対策、長年失敗を重ねてきた使用済み核燃料の処分策、国民負担の割に実効の上がらない再生可能エネルギーの普及策、成長と両立できる地球温暖化対策などを早急にまとめることではないだろうか。
これらの重要な前提を無視して、原発依存度を「2030年に15%」にする選択肢を選ぶことは、自動的に、「すべての原発に設計寿命の40年間の運転を認める」ことになりかねない危うさがある。
15%シナリオに込められた政府の意図
原発依存度を巡る3つのシナリオは、国家戦略室の「エネルギー・環境会議」が6月29日付で公表した「エネルギー・環境に関する選択肢」に盛り込まれている。
東日本大震災前(2010年)は全電源のうちの25%を占めていた原発の比率を、2030年に0%、15%、20~25%のいずれかに引き下げるというものだ。
公表された文書には、原発依存度見直しの必要性を、「東日本大震災と東電福島原発事故が発生」し「原子力は安全であるという大前提が大きく揺ら」いだことから、「原子力発電に依存したエネルギー選択を白紙から見直さなければならなくなった」となかなか説得力のある言葉が並んでいる。
しかも、原子力委員会がまとめた「核燃料サイクル政策の選択肢について」、総合資源エネルギー調査会・基本問題小委員会がまとめた「エネルギー・環境に関する選択肢」、中央環境審議会・地球環境部会がまとめた「2013年以降の対策・施策に関する報告書(地球温暖化対策の選択肢の原案について)」などを勘案しただけでなく、「エネルギー・環境会議」自身の下部組織「電力需給に関する検討会合」や同じく「革新的エネルギー・環境戦略会議」などの審議内容と報告も包括したものということになっている。
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