【社説】時代遅れの「韓米ミサイル指針」改正を

 韓国軍の弾道ミサイルの射程を300キロに制限している韓米ミサイル指針を、根本的に再検討しなければならないという主張が出ている。1979年、当時のジョン・A・ウィッカム在韓米軍司令官が国防部(省に相当)の盧載鉉(ノ・ジェヒョン)長官に対し「韓国が開発する弾道ミサイルは射程180キロ以内、弾頭重量500キロ以内に制限すべき」と要求する書簡を送り、盧長官がこれを受け入れると回答したことが、ミサイル指針の始まりだ。

 2001年のミサイル指針第1次改正で、射程の制限は300キロに緩和された。また昨年1月からは、射程をさらに延長する第2次改正交渉が行われている。北朝鮮が不意に南側を攻撃してきた場合、その先制攻撃で比較的被害を受けにくいとされる韓半島(朝鮮半島)南端から、反撃を加えざるを得ない。この場合、ミサイルの射程は800-1000キロ必要だというのが、韓国側の立場だ。これに対し米国は、韓国の前方地域から反撃する場合、射程が550キロあれば十分で、それ以上の射程は中国や日本を刺激しかねないと反対している。

 射程300キロ以上、弾頭重量500キロ以上のミサイルを第三国に輸出することを禁止するミサイル技術管理レジーム(MTCR)には33カ国が加盟している。米国は、このうち韓国・アルゼンチン・ブラジル・南アフリカ共和国など一部の国々と、一定の射程を超えるミサイルの開発そのものを禁止する二国間指針を非公開で締結している。そのため米国は、韓国だけを例外として認めるわけにはいかないと主張している。

 しかし韓国は、MTCRに加盟しないままミサイルの射程を伸ばし続けている北朝鮮とにらみ合っている状況下にあり、ほかの国々とは安全保障環境そのものが全く異なる。北は、韓半島や日本全域を攻撃できる射程1300キロのノドン・ミサイルを96年から実戦配備し、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験も3回行った。中国は射程1万2000キロを越えるICBMを保有しており、日本はいつでもICBMに転換できる3段式の固体燃料ロケットを持っている。この状況で「韓国のミサイルの射程を延長すれば、日中を刺激する恐れがある」と反対するのは、道理に合わない。

 通常兵器しか持たない韓国が、北朝鮮の核とミサイルの前に無防備状態でいる状況を見てもなお、北朝鮮の核やミサイルが存在しなかったときに定められた韓米ミサイル指針を掲げて米国が韓国を縛り続けるなら、韓国としては疑いを持たざるを得ない。韓国が北朝鮮を先制攻撃するかもしれないという想像し難いシナリオを、米国が頭の中に描き、韓国だけに足かせをはめているのではないか。このような不信は、韓米の同盟関係にひびを入れることにもなりかねないだろう。

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