本学アメリカン・フットボール部の飲酒事故について(学長からのメッセージ) お知らせ
去る5月7日,本学アメリカン・フットボール部(以下,アメフト部)が本学グランドで行ったバーベキュー・パーティーにおいて飲酒事故が発生し,9名もの部員が救急搬送され,そのうち1名の部員が亡くなるという重大な事態となりました。亡くなられた学生及びご家族には心よりお悔やみ申し上げるとともに,大学の責任者として深くお詫びを申し上げます。
本学では,アメフト部学生の懲戒に当たって事実関係を調査するための委員会を設置し,調査を行ってきました。この度,その調査がまとまりましたので,その概要をお知らせするとともに,私の思いを述べさせていただきます。
この調査委員会では,まずアメフト部の部員個々の処分,その軽重を検討するために,強要の有無を観点とし,また,もし強要があったとすれば,誰が誰に対して,どのように強要したのかを明らかにすべく調査を行いました。その結果,部員個人については,明確に明示的な強要行為があったとする事実は確認されませんでした。
他方,大量のアルコールを用意し,未成年者が飲酒すること,未成年者に飲酒を勧めることに何の躊躇もなく,進んで酒を飲むことを良しとする雰囲気を作り上げ,適切な介抱体制をとることを怠ったアメフト部の組織的・構造的責任を明確に認めています。調査では,新入生達は全くの任意に飲酒したというものではなく,また,上級生達は,新入生達が酒の供応を進んで受けるという暗黙の約束事に基づき,何のためらいもなく酒を注いでいたという,極めて注意力と想像力に欠ける不適切な行為であったことが指摘されており,今後,この事実に基づいて,厳正な処分が行われると考えます。
以下は,この調査を踏まえた私自身の思いです。
私は,この度の事故が重大な事態に至ったのは,未成年飲酒に関する認識の欠如,介抱体制の不備及びパーティーが作り上げた一種の強要的雰囲気が大きな原因だと考えています。そして,組織的にこのような状況を作り上げたことを,「一種の強要」だと当初から認識しています。調査委員会が「極めて不適切な行為」と認識した事実と,私が「一種の強要」と認識している事実とに相違はありません。また,9名もの部員が次々と救急搬送されたことからも,尋常ならざる状況であったと推測され,亡くなられた学生は,組織的・構造的に飲酒せざるを得ない状況に置かれていたのだと考えています。
今回の調査委員会による調査は,学生の懲戒にかかる事実確認を中心に学内で行われたものでしたが,この度の飲酒事故に関しては,学生のみに問題があり,学生のみの責任が問われるものとは考えておりません。このような重大な飲酒事故が本学構内で発生したことで,これまでの本学の飲酒に関する啓発活動,サークル等の課外活動にかかる指導体制など,その問題点と学生指導の在り方が改めて問われています。今後,学外有識者による第三者委員会を早急に設置し,再発防止に向けた取組と,事故に係る大学の責任等についてご検討をいただく予定ですが,二度とこのような不幸な事故を繰り返すことのないよう,教職員一同,心を一つにして取り組みたいと考えています。
平成24年6月29日
小樽商科大学長