目指すは韓国初のフィールズ賞受賞、数学の英才たち

国際数学オリンピック史上初の総合優勝、参加者全員金メダル

 世界の数学の英才たちの競演の場である「国際数学オリンピック」で、韓国が初めて総合優勝を果たした。数学界では、韓国の実力がまさに先進国レベルに達した証拠だと受け止めている。一部では「ノーベル化学賞よりも先に、数学のノーベル賞といわれる『フィールズ賞』受賞者が韓国から出るのではないか」という期待も出ている。

 韓国科学技術部(省に相当)と韓国科学創意財団は16日「アルゼンチン・マルデルプラタで開催された第53回国際数学オリンピックで韓国が総合点数209点を獲得し、初めて総合1位となった」と発表した。参加したキム・ドンリュルさん(ソウル科学高1年)、キム・ドンホさん(ソウル科学高3年)、ムン・ハヌルさん(世宗科学高2年)、パク・ソンジンさん(ソウル科学高2年)、パク・テファンさん(ソウル科学高3年)、チャン・ジェウォンさん(ソウル科学高3年)が皆、金メダルを獲得した。特に韓国代表団のうち、満15歳と最年少だったキム・ドンリュルさんは42点満点の40点と、個人2位を記録した。

 韓国の生徒たちの数学の実力はすでに世界的に認められている。「数学・科学成就度の推移変化の国際比較研究(TIMSS)」で、韓国の中学2年生は1995年以降、引き続き2、3位を維持している。2009年、経済協力開発機構(OECD)が世界の満15歳の生徒47万人を対象に行った「学業成就度国際比較研究(PISA)」で、韓国は数学ではOECD加盟34カ国中1位だった。教育科学技術部のユン・ギョンスク数学教育政策チーム長は「エリート数学教育といえる数学オリンピックで総合優勝したことから、数学教育で名実共に世界の上位圏にいることが認められた」と話した。

 数学研究でも韓国は先進国レベルに達した。国際数学連盟(IMU)は加盟70カ国を研究レベルによって1-5群に分類している。韓国は一時期、投票権が二つの2群にとどまっていたが、07年からは投票権が四つの4群に上昇した。5群はG8 (先進8カ国)とイスラエル、中国の10カ国。論文発表数と国際学術大会開催数でも、05年までは15位にとどまっていたが、07年以降11位に浮上した。韓国はこのような成果に後押しされ、4年に1度開催される数学界のワールドカップ「世界数学者大会」の2014年開催国に選ばれた。

 数学界の次の目標は、フィールズ賞。ポステック(旧浦項工科大)のパク・ヒョンジュ教授(数学科)は「ほかの科学分野のオリンピック受賞者は多くが医学部に進学するが、数学オリンピックの受賞者は60-70%が数学科に進学する。彼らにはフィールズ賞受賞が期待できそうだ」と話した。実際、1978年のフィールズ賞創設以降、受賞者32人のうち11人が国際数学オリンピック経験者だ。

 さらに、フィールズ賞には40歳という年齢制限がある。ノーベル化学賞受賞者は大部分が70代以上だ。つまり生涯をかけて、その分野で世界的な業績を認められなければならないことになる。いまだ基礎科学での業績が蓄積されていない韓国では、しばらくは受賞者を出すのが条件的に難しい。しかし、パク教授は「フィールズ賞は、若い英才たちが数学の難題一つを解明すれば受賞することができる。キム・ヨナ選手の影響を受け、スケートリンクが子どもたちでにぎわっているように、フィールズ賞受賞者が出れば、韓国の数学が世界最高レベルに跳躍するだろう」と話した。

李永完(イ・ヨンワン)記者
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