菅直人に近い政商・孫正義が、「(自社ソフトバンクの)通信も電気があって初めてつながる」と言いながら、大飯原発の再稼働を「誠に遺憾」と批判し、「原子力に対する依存を0%にすることは、再生エネルギーや省エネなどで可能だ」と力説したという。
ところが皮肉なことに、孫が鳴り物入りで本日稼働させた「メガソーラー」(太陽光発電)第一号が、あいにくの雨のため機能しなかった。驕る政商に天が警鐘を鳴らした形だ。
孫は、「たとえ、太陽がだめでも、水力がある。水力がだめでも、風力がある」と強がっているが、太陽光も風力も、どこまで行っても基盤的な安定電源とはなり得ない。水力は、ダム建設により環境を大きく変えてしまう。
以前、「菅さんにはあと10年総理を続けて欲しい」(2011年7月)と語って顰蹙を買った孫だが、原発に絡む風評被害に釘を刺すどころか、便乗して儲けようという姿勢は、あまりに無責任だ。
下に、孫正義、堀義人(グロービス経営大学院学長)両氏の討論を一部引いておいたが、風評被害を拡大させた政府の責任を問う堀氏の正論に対し、孫氏は軽薄な大衆迎合の言を繰り返している。
岡田克也の異常な防護服姿(下写真)に、孫氏は何の疑問も感じなかったのだろうか。その点に関する感受性の有無が、国を思う経済人と政商を分けるのだろう。
イザ!ニュース
孫氏「原子力依存ゼロも再生エネルギーで可能」 メガソーラーで
2012/07/01
ソフトバンクの子会社、SBエナジー(東京)が事業者となる京都府初のメガソーラー(京都市伏見区)が1日、稼働を開始し、運転開始セレモニーが現地で開催された。ソフトバンクの孫正義社長は「通信も電気があって初めてつながるもの。再生エネルギーの事業は、今後IT事業とも相乗効果がはかれる」と述べ、今後も再生エネルギー事業を拡大していく考えを示した。
メガソーラーは約8万9千平方メートルの京都市の所有地に2基設置。計約1万7千枚の太陽光パネルの出力は、京都府内最大の計約4200キロワット。太陽光や風力などで発電した電力を電力会社が買い取る再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度がスタートした1日に、まず1基目が運転開始。2基目は9月1日から発電する予定。
セレモニーには、孫社長の他、太陽電池のシステム設計や施工などを担当した京セラの稲盛和夫名誉会長らも駆けつけた。
孫社長は、関西電力が、大飯原発3号機(福井県おおい町、118万キロワット、加圧水型軽水炉)を再稼働させることについて「安全対策が不完全な中、誠に遺憾」と発言。「原発の事故から、何としても再生エネルギーを作らないといけないという思いでやってきた。原子力に対する依存を0%にすることは、再生エネルギーや省エネなどで可能だ」と意気込んだ。
この日は、SBエナジーが事業者となる群馬県のメガソーラーも稼働を開始。さらに、年度内に長崎県、徳島県、栃木県など国内5カ所にメガソーラーを稼働する予定で「まだ電力の仕事は素人だが、余力のある限り、広げていきたい」(孫社長)という。
この日の天候は、あいにくの雨だったが、孫社長は「たとえ、太陽がだめでも、水力がある。水力がだめでも、風力がある。自然をさまざまな形で生かして、目の前のリスクを考えず、長い目で真実のコスト価値はどこにあるのか見極めてほしい」と訴えた。
「『政商』と言われるのは心外だ」
孫正義×堀義人 対談全文書き起こし(4)
http://getnews.jp/archives/134460
……
孫正義氏(以下、孫): 本来電力会社が自ら起こした事故は、国に頼る、国民の負担に頼るのではなくて、事故を起こした電力会社が無制限で本来(負担を)負うべきだ。それが本当の原発コストだと僕は思います。それに上限を作ること自体が、すでに真の原発コストの議論から外れている。
……
堀義人氏(以下、堀): 風評被害というのは大きくもなるし小さくもなるわけです。だからこそ「風評」の「被害」と言うわけであって。したがって僕は、その部分の政府のマネージメントが失敗したと思ってるんですよ。そのマネージメントの失敗までを、すべて東電のせいにすべきか。
孫: 日本は「風評被害」とか言っていろいろ隠し過ぎて、「隠匿体質だ」と言って逆に外国人はもっと信用しなくなっているわけです。……
堀: ……風評被害に関して何が問題だったかといえば、私は海外のメディアを見ても「政府の対応」だと思うんです。例えば20キロ圏内を立ち入り禁止にしてしまって、……防護服をあのように着た写真が撮られれば、海外のメディアに「うわあこれは大変なことになってる」という印象を与えてしまう。……(放射線量が)下がっているにも関わらず、どんどん政策によってエスカレートして風評被害が発生してきている。これはしっかりとした政府の対応によって僕はマネージできたと考えています。
孫: じゃあ防護服を着ないで行けば良かったと仰る?……あなたは防護服を着ないで行く勇気があるかもしれないけど、普通の人はリスクがあると思ったら、やっぱり防護服を着て行くんじゃないかと思いますよ。……海外メディアが写して「観光客が減った」なんて言われたって、その行ってる本人からすると「何を言ってるの? 私は自分の健康を守る権利は自分にある」ということだと思う。……
下記エントリ参照。
■「夏の幽霊」岡田克也の不見識と不決断
http://island.iza.ne.jp/blog/entry/2334844/