2012.7.14 05:02

五十嵐、じっちゃんの名にかけて!/BOX

予備検診を受ける五十嵐俊幸(手前)と王者のハロ (撮影・櫃間訓)

予備検診を受ける五十嵐俊幸(手前)と王者のハロ (撮影・櫃間訓)【拡大】

 プロボクシングのダブル世界戦(16日、埼玉・ウイングハット春日部)の予備検診が13日、東京・後楽で行われ、世界初挑戦のWBC世界フライ級1位・五十嵐俊幸(28)=帝拳、5度目の防衛戦に臨むWBA世界Sフェザー級王者・内山高志(32)=ワタナベ=ら、4人とも異常なしだった。五十嵐は自身が2歳のときに亡くなった祖父・甚之丞(じんのじょう)さん(享年62)の遺影を会場に持ち込むことを明かした。

 じっちゃんの名にかけて、ベルトを奪取する。初防衛を目指す王者ソニー・ボーイ・ハロ(30)=フィリピン=に身長で10・2センチ、リーチで6・8センチ上回った五十嵐は、祖父との思い出を振り返ると、うつむいて涙を流し始めた。

 「家族の中で一番かわいがってくれた。(故郷の秋田・由利本荘市内の)お墓にベルトを持って報告しにいきたい」

 幼かったため記憶はわずかしかないが、甚之丞さんは五十嵐を毎日のようにひざの上に乗せて、ごはんを食べさせてくれたという。2004年アテネ五輪に出場した際に父・新一さん(62)、母・真知子さん(59)から「一緒に連れて行ってあげて」と遺影を託されて以来、試合のときはいつもバッグに忍ばせている。

 この日は王者ハロと初対面。フライ級(リミット50・8キロ)とは思えない体格に「すごい体をしているけど、必要な筋肉なのかな」と首をかしげた。初挑戦でも物おじすることなく、亡き祖父との“二人三脚”で奇跡を起こす。(江坂勇始)

(紙面から)