名古屋から駆けつけたコロッケは、枕元で「正博さん!」と呼び続けた(大阪市住之江区)【拡大】
病室で桑名の手を握り、コロッケが呼びかけ続けた。
「正博さん! 一緒に歌うのを楽しみにしてますよ。連絡、待ってます!!」
名古屋で舞台出演中に知らせが入り、午後6時半過ぎに大阪入り。対面後、ロビーで口を開いた。「普通に横になってる感じで」。重篤な状態に陥っているとは信じられなかった。
「人の“和”を作ってくれる方。大変お世話になって…。カーリーヘアーでデビューしたのも正博さんにあこがれて、なんです」
約束が残っている。最近も「2、3カ月前に大阪で飲んだ」ばかり。桑名が40周年のツアーで各地を回っていると聞き、「どこかで一緒に歌わせて」と持ちかけたところ、「おぉー、来てやー」と快諾してくれたという。
天外も、やはり名古屋で舞台に出演中の合間をぬって大阪へ。「いつも酔ぉて寝てるヤツやから、そんな感じ」と事態が飲み込めない様子。
「ちょっと糖尿やったんで、本人も節制してヤセよったからね。まさかこんなことになるとは」
東京・六本木の飲み屋で初めて出会ったのが約30年前。天外が新生松竹新喜劇を立ち上げる際に桑名が「危ないロマンス」という曲を作って提供してくれた。
「最近は『来年は還暦やから、お前ら、何かせぇよ』とそればっかり言うとった。還暦を楽しみにしとったなぁ」
しかし、2週間前に大阪で飲んだ際には突然、桑名が「オレら、もう悔いないよなぁ。個人的に全部したわ」とつぶやいた。その時は「何を言うてんねや」と不思議に思っただけだった。
「やんちゃな人生やったけど、もっぺん目ぇ覚ましてくれたらいいのに…。なるべく派手に書いたってください」と報道陣に頭を下げた。
(紙面から)