2012.7.17 05:06

桑名の容体安定、妹・晴子「奇跡起きるかも」(2/2ページ)

入院中の桑名正博氏の見舞いに訪れ、報道陣の質問に答える妹の桑名晴子

入院中の桑名正博氏の見舞いに訪れ、報道陣の質問に答える妹の桑名晴子【拡大】

 「セクシャルバイオレットNo.1」「哀愁トゥナイト」、そして「月のあかり」。途切れることなく流れる自身の歌声に励まされるように、桑名の容体は安定を保った。

 関係者によると、病室には桑名の曲が流れ、1カ月前に神戸・チキンジョージで行ったライブの写真が飾られた。見舞客が多く、入りきれないため控室も用意。ベッドの横には妻の栄子さん(48)が付き添い、長男のミュージシャン、美勇士(31)が来客の応対に追われた。

 当初、飲酒中に倒れたとされたが、関係者によると、「ライブのDVDを見ようか」と話していたところ、突然倒れたという。脳幹出血で担当医は「もう手術や積極的な治療はできない」と説明したが、一夜明けて熱は下がり、各数値は安定。落ち着きをみせている。

 夜間は50に下がった血圧も、来客があるたび、高揚しているのか数値が上昇。桑名が愛した音楽と友人たちの励ましに、応えるかのような好転の兆し。関係者は揃って「奇跡」を口にした。

 「奇跡が起きるかもしれません。皆さんが声をかけてくださったおかげです。ありがとうございます」。夕方姿を見せた晴子は涙をかみしめながら礼を述べた。

 この日、母、澄栄さん(86)のことづけで、晴子が奈良・薬師寺のお守りを病室に飾った。それに合わせるかのように、同寺の執事長、村上太胤氏(65)がお札を持って訪れた。

 桑名と村上氏は50年来の“兄弟”の仲。家族ぐるみで付き合いがあり、村上氏が高校3年生の時、小学4年生の桑名が同寺に預けられ体験修行、一緒にギターを弾いて過ごした。

 「『頑張って』と声を掛けると、涙が流れたように見えた。顔色は落ち着いてました。気持ちが強い人やからね」

 思いは通じたか-。晴子は「そのまま寝てるみたい。希望は捨ててない。あきらめてない」。奇跡を皆が信じている。

(紙面から)