序章 上
俺は現役の高校一年生・・・いや今日で二年生だった。
チリチリと耳に音が聞こえた。
俺はメールを見たいと思った。
そうすると目の前に水色のディスプレイ映像が投影された。
この時代には、昔では実現されていなかった空間投影ディスプレイなんて常識で、ケータイ本体もちょっとしたキーホルダーサイズくらいのサイズで、使うときは身に着けていれば直接本体を操作する必要もなく、念じるだけで目の前にモニターが表示されるのだ。理由は簡単なことで、この時代のケータイは人間の脳の信号を受信して、その情報をもとに人間の脳信号に介入して、モニターが目の前にあるように見えるのだ。そのために他人にはまったく画面は見えず、プライバシーは確実に守られるのだ。
だから俺がたまにやるのはケータイに道路交通情報データを表示させて、目をつぶると、脳に直接見えていると見せさせられているので目をつぶっていても車の交通情報や歩行者自転車などの情報は見えるため、目をつぶりながら歩くなんて普通にできる。
そんな世の中で平和に暮らしてる俺はいつもの通りに学校の前に着き、立ち止った。
四月だけあって、校門の周りに植えてある桜が綺麗で仕方ない、そう思っている時だった。
いつもの風景が一瞬にして変化した。
周りの人間は静止し、周りのすべての風景の色彩が水色一色になった。
「え?何これ?なんでみんな固まっちゃってんの?」
なんて感じで静止した生徒たちをつんつんしながら誰かに尋ねてみる。
この空間にいる人間は『遅い』。誰も反応するわけがない。
なぜなら、今この空間は『加速』しているのだから。
だが今のお前に出来るのは今の状況が全く理解できずに、あたふたするだけだ。
「ったく、何なんだここ?夢か何かか?・・・よし!」
俺は自分のほっぺを思いっきり引っ張って放してみた。
「いってぇ!。ったく、夢じゃねぇってことか・・・ん?何かアプリが増えてるようなきがする」
ケータイは昔と同じく、なにも映っていない時でもメニュー画面にショートカットを設定することが出来、普段は視界の邪魔になりにくい端に配置されているのだが、そのショートカットに【A】と書かれたアプリが新しく増えていたのだ。
興味本位で俺はそのAと書かれたアプリにタッチしてみた。
そうすると、いきなり大きな赤い文字で『Welcome Acceleration world』と表示された。
「ウェルカム、あくせら??ワールド???なんじゃこりゃ?」
俺が疑問に思っていると、背景が徐々にもとのカラフルな背景に戻り、校門ちかくにいた生徒たちも動き出していた。
「いったいなんだったんだ?」
結局、最後まで何が起きてたのか分からなかった。
不可解な朝の出来事の後、弁当を家に忘れてきたことを思い出したが今から学校から家に行って帰ったら確実に遅刻なので、近くのコンビニにおにぎりを二、三個買ってから時間ギリギリで新教室に足を踏み入れた。
先生が来る前に新教室に着いた俺は、黒板に書かれた席に座って机の横のフックにバックとさっきコンビニで買ったおにぎりの袋をかけて先生が来るのを待った。
ちなみに今日は入学式だ。
なぜ入学式に昼食が必要になるのかと思うだろうが、俺は部活に入っているので午後に活動があるので家に一度帰ってもいいのだがめんどくさいので買ってきた。
教室では入った時からずっと新クラスメイト間でぺちゃくちゃしゃべりあっている。
最初に言うと俺は友達が多いほうではない。
そんな俺が微かな期待を胸に新教室を見回してみても知り合いはいなかった。
そんなことをしてる間に先生が来て俺たちは教室前に出て並び、体育館へ向かった。
校長先生だのいろんな人の話が終っていざ教室に戻ろうというときだった。
朝に起きた謎の現象がまた起きた。
「またか・・・」
なんてスローテンションンになっていると、コン、コン、と音が聞こえてきた。
「まさか!?」
俺は音のするほうを振りかえった。
そこは体育館のステージの上だった。遠くから見た限りはこの学校を制服を着た女子だ。
俺は静止した空間で人の隙間を縫って走り、ステージを目指した。
運動神経は中の上弱といったところだがここには全生徒が並んでいる。
それを一人一人くぐりぬけてステージに上がるための階段を駆け上がり、ステージの上に着いた。
だが周りを見回してもさっきの女子はいない。
「見逃したか・・・?」
またコン、コン、と足音がした。
その方向を向くと、今度は体育館の出入り口のほうに女子の姿が見えた。
「まて!」と声を出して出入り口へと走り出した。
やっぱり今度も俺が出入り口に着いた時には女子の姿はなかったが、上のギャラリーに上がる階段に後ろ姿が見えた。
俺も追って階段を上り、ギャラリーに出るとさっきの女子の姿は見えなかったが、扉が閉まる音が聞こえた。
おそらくギャラリーにある倉庫だのなんだののどっかに入ったんだろう。
とりあえず片っ端から扉を開けまくった。
最後の扉を開けて中に入ると電源が入ったノートパソコンが置かれていた。
ここが最後の扉だ。ここに手かがりがなかったらもう次にこの現象が現れるのはいつかは分からない。もしかしたらもう二度とこの現象は起きないかもしれない。
俺はそこまで一つ一つのことに探究心を持つことはほとんどと言っていいほどないが、なぜかこればかりはなぜか気になって仕方がない。
俺は目の前に起動してるノートパソコンのデータをあさり始めた。
5分後。
ノートパソコンにはろくなデータは入っておらず、ほぼ新品同様の状態だった。
ただ、デスクトップに見たことのないアイコンがあった。
そのアイコンは A と書かれた画像に、ファイル名は『Acceleration world』と書かれていた。
「手がかりみっけ!」
俺はマウスカーソルをそのアイコンに動かし、ダブルクリックした。
そうすると、ケータイ画面が現れ一つだけウィンドウが表示されてそれには、こう書かれていた。
このプログラムをダウンロード&実行しますか?
【Acceleration world スタートプログラム】
YES or NO
「もちろん、YESだ!。」
俺はウィンドウのYESを勢いよくタッチした。
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
「ウィルスでも食らったか?」なんて思っていたら、目の前にドット絵の棒人間と漫画とかによくつかわれるセリフ枠が表示された。
セリフ枠にセリフが一文字ずつ表示されていくのと同じタイミングでボイスが再生されていった。
「ようこそ。Acceleration worldの世界へ」
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