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クニマス断定に専門家から慎重論 山梨県で魚類学会公開講座
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約70年前に田沢湖で絶滅したクニマスの実態解明をテーマにした市民公開講座(日本魚類学会主催)が14日、山梨県笛吹市の県総合教育センターで開かれた。
2010年に同県・西湖(さいこ)でクニマスを発見したと発表した京大総合博物館の中坊徹次教授のグループが研究結果に基き、田沢湖と西湖のクニマスの同一性を強調。これに対し他の研究者からは、クニマスと断定することへの慎重論が出され、専門家の間での見解の相違が浮き彫りになった。
基調講話を行った中坊教授らは▽産卵時期などの生態的特徴▽胃の出口にある突起「幽門垂(ゆうもんすい)」の数など形態的特徴▽田沢湖から西湖に卵を移植したという文献の記述—を根拠に「西湖にいるのは、田沢湖由来のクニマスと考えるのが妥当」と主張した。
これに対し、長年クニマスを研究している本県の杉山秀樹・県立大客員教授は、全国7カ所の湖で外観がクニマスに似ているヒメマスを採取し、特徴を調べた結果を発表。同じヒメマスでも幽門垂の数などに幅があることから、西湖のクニマスもヒメマスの一種である可能性を示唆、現時点でクニマスと断定することに対し慎重な立場を示した。
続いて行われたシンポジウムでは北海道大の後藤晃名誉教授(前日本魚類学会長)が、クニマスと確定するまで田沢湖など他水系への移植を見送るべきだと提案するなど慎重論が出た。中坊教授が「自然科学のデータでパーフェクトはない」と語気を強める場面も見られた。
このほか環境省の担当者が、レッドリストで絶滅種となっているクニマスの扱いを説明。今秋にもリストを見直し、田沢湖と西湖のクニマスが同一かどうか、結論を出す方針を明らかにした。
(2012/07/14 23:25 更新)
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