山形のニュース

風力発電参入 窮地に 山形県、計画見直し必至

 再生可能エネルギー導入の一環として、風力発電事業への参入を検討している山形県が計画の見直しを迫られている。東北電力が自治体風力の制度を撤回し、電力を優先的に買い取ってもらえる前提が失われたためだ。ノウハウのある民間企業との競合を余儀なくされる上、県特有の不利な事情もあり、現時点で残り少ない買い取り枠を得られる可能性は極めて低い。

 県は風力発電の拡大に向け、民間企業の誘致と並行し、県直営の発電事業を模索。県企業局が本年度当初予算に調査費1000万円を計上し、庄内地方に中規模風力(出力20キロワット以上2000キロワット未満)1基を置くなど複数の案を検討していた。
 背景にあったのが、7月に申し込みが始まるとされていた自治体風力。事業者が東北電に風力発電の電力を売るためには、抽選で約10倍の難関を突破する必要があったが、自治体はこうした競争を免除され、買い取り枠を確実に割り当てられるはずだった。
 ところが、1日に再生可能エネルギー特別措置法が施行され、全量固定買い取り制度がスタート、それに先立つ自治体風力の撤回で状況は一変した。風力発電の電力の買い取りは申請順になり、東北電の風力発電の買い取り上限118万キロワットのうち残り21万5600キロワットを早い者勝ちで奪い合う事態になった。
 申請は同法に基づく国の認定を受けていることが条件。県は「認定に必要な資料の検討に時間がかかり、その間に買い取り枠は埋まるだろう。今回の計画はかなり難しくなった」(公営事業課)と頭を抱える。
 一方、山形県とは受け止め方が違う県もある。
 自治体風力の撤回には、蓄電池併設型の風力発電に自治体が関与する場合に限り、国の認定前でも売電の申し込みを受け付ける特例措置がある。秋田県は「手続きは進められるので実害はなかった」(資源エネルギー産業課)との認識を示す。
 風況に恵まれている青森県は「先着順になったのなら素早く動けばいいだけ。あえて自治体枠を用意してもらう必要はない」(エネルギー開発振興課)と強気の姿勢だ。
 山形県が検討していた中規模風力は特例の対象外。県内の風力発電の適地は自然公園法など法律との調整が必要な場所もあり、「素早く動く」のも決して簡単ではない。
 東北電は2020年度までに風力発電の買い取り上限を200万キロワット程度に引き上げる計画。県は「次の(引き上げ分の)枠で、どうするかを考えたい」と参入の検討は続ける考えを示している。

[自治体風力] 自治体が関わる風力発電から電力を優先的に買い取る制度。東北電力が昨年11月に導入を発表した。専用買い取り枠を設け、約20万キロワットを受け付けるとした。蓄電池を併設する出力変動緩和型が18万キロワット、中規模風力が2万キロワット程度の見込みだった。再生可能エネルギー特別措置法で事業者を公平に扱う必要が生じたため、6月に撤回された。


2012年07月15日日曜日


Ads by Google

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS