にじファン終了記念短編 LAS小説シンジのかくしごと&ハルキョン小説キョンのかくしごとセット
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新世紀エヴァンゲリオンSS
LASVer. サブタイトル『シンジのかくしごと』
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いつものように、シンジが葛城家の台所で夕食の用意をしていると、アスカに声を掛けられた。
「シンジ、かくしごとしてるでしょう?」
「ぎくっ、べ、べつにアスカにかくしごとなんてしてないよ」
シンジが白を切ると、アスカは大量の原稿用紙をシンジの前にぶちまけた。
「ほら、ここに証拠があるわよ!」
「ああっ!」
シンジは青い顔をして悲鳴を上げた。
「隠しているから見つからないとでも思った? 最近、部屋に閉じこもる事が多くなったし、何かあったのかと探ってみれば……心配して損したわ」
ため息交じりにつぶやいたアスカの言葉を聞いたシンジは嬉しそうな顔になった。
「ば、バカっ、何を鼻の下を伸ばしているのよ、アタシはエヴァパイロットのアンタが、こんなふぬけた事をして大丈夫かってあきれてるの!」
「そ、そうだよね」
「何よ、このLAS小説って言うのは……シンイチとアスナって名前を変えているけど、これってアンタとアタシの事よね。勝手に妄想しないでくれる?」
内容までしっかり読まれてしまっていると、シンジには分かった。
現実でアスカに虐げられている(?)シンジは、空想の中だけでもラブラブになろうとLAS小説を書き始めてしまったのだ。
「あーあ、アンタの小説なんか読んで気分が悪くなったわ。肖像権の使用料と慰謝料をよこしなさい」
「そんな、趣味なんだからお金なんて払わなくていいじゃないか」
「ふん、ミサトから原稿料をもらってるんでしょう?」
そこまでアスカに見抜かれていたシンジは観念してミサトからもらったお金を渡した。
ミサトはシンジの小説を見つけ、登場人物の名前を完全に変えて出版する事を企てていたのだった。
「アンタね、アタシに認めてもらいたいなら、空想の世界に逃げ込まないで自分を磨きなさいよ」
「そ、そうだね、もう小説を書くのは辞めるよ」
シンジの答えに満足したアスカは、優しい笑顔になってシンジに顔を近づける。
「シンジが全然構ってくれなかったから、ずっとアタシ寂し……くなるはずが無いでしょう、バーカ!」
そう言い放って背中を向けるアスカを見て、やっぱり現実のアスカは厳しいなと思うシンジだった。
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涼宮ハルヒの憂鬱SS
ハルキョンVer.サブタイトル『キョンのかくしごと』
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「どうしたんだハルヒ、大事な話があるって?」
とある冬の日の放課後、俺はハルヒに屋上へと呼び出された。
春や秋などの心地良い季節には生徒達の溜り場となるこの場所も、寒さの厳しい今となっては、好んで近づく者は誰も居なかった。
「あんた、どうして転校する事をあたしに黙っていたのよ!」
「う、誰からそれを聞いたんだ」
「妹ちゃんからよ!」
……妹のやつ、口止めしていたのに話しやがったな。
もしかしてハルヒに尋問されて白状したのかもしれないが。
「俺が転校すると知ったら、お前は態度を変えてしまうじゃないか」
「そんなの当たり前よ」
「だから、今まで通り過ごしたかったから、ギリギリまで伏せておこうと思ってな」
「何よ、あたしの気も知らないで!」
ハルヒはそう言うと、俺の頬を思い切りビンタした。
だが俺は、ハルヒに殴られた痛みなんて忘れるほどの驚きを覚えた。
あのハルヒが目に涙を溜めて、泣くのを必死にこらえているのだ。
「せっかく、高校に入学して、キョンと言う友達が出来たのに……そして、あんたの事がたまらなく好きになってしまったって言うのに……」
「そ、それって告白か?」
「そう、キョン、あたしはあんたが好き! だから転校するな!」
ハルヒはそう言って俺に抱きついて、俺の胸の中で号泣し始めた。
「無茶言うなよ、親の都合なんだから」
「嫌ったら、嫌っ!」
まるで幼稚園児のように駄々をこねるハルヒに俺はどうしようか悩んだ。
そして1つの結論にたどり着いた。
「ハルヒ、約束する。俺はいつかこの街に戻って来るよ。お前が居るこの街に。だから、それまで待っていてくれないか」
俺がハルヒの体を離して、肩に手を置きそう説得すると、泣き止んだハルヒは手で目をこすって涙を拭きながら、少し照れくさそうに顔を赤らめて答える。
「ま、まあそう言う事なら許してあげない事も無いわ。でも約束を守らなかったら、あたしがキョンをどこまでも追いかけて行くんだからね!」
「ああ、分かった。俺もハルヒを追跡者にさせたくないからな」
俺とハルヒはそう言って指切りげんまんをするのだった。
「ダメ、却下」
「おい、何をするんだよ」
ハルヒは俺の持って来た原稿用紙を床に捨てると、さらに靴で踏みにじった。
まったく「恋愛小説」を書けって命令したのに、ワガママな団長だな、いや、いまは編集長か。
朝比奈さんに見せたら感涙物の出来だったのに、書き直しとはやってられん。
「キョン、もしかしてあんた、かくしごとしてないでしょうね?」
「は? お前に言われて団員の仕事として延々と小説を書かされているわけだが」
「違う、こっそり引っ越しする予定とか、そんなのあったら許さないわよ、SOS団はずっと一緒なんだからね!」
後から古泉から聞いた話だが、ハルヒは妹や担任の岡部にも、俺が転校する可能性が無いかと聞いて回って、不思議に思われていたらしい。
朝倉みたいに即日カナダに行ってしまわないか心配になったらしい。
ハルヒも可愛い所があるじゃないか、とハルヒの顔を見つめていたら、「いやらしい顔で見ないでくれ」と言われてしまった。
こうなったら試しに転校するかもしれないとウソを言ってみようか。
「そうなると、大量の閉鎖空間が発生する事になりますが……」
「キョン君、未来が大変な事になっちゃいます」
「それは世界全体の危機になりねない」
……いやいや冗談だ、こっちをにらむなよ、みんな。
※にじファン終了間近と言う事で、ストレートで読みやすいLAS短編とハルキョン短編を書いてみました。
※推敲時間が取れなかったため、乱文はごめんなさい。
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