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【社会】

発言者に東北電幹部 原発比率聴取会

2012年7月16日 01時22分

 政府は15日、将来の原発比率について国民の意見を聴く2回目の意見聴取会を仙台市で開いた。抽選で選ばれた9人の発言者の中に、東北電力や原発推進団体の幹部2人が含まれ「原発が不可欠」など従来通りの主張を展開した。会場から批判の声が上がった。

 聴取会は、政府が提示した2030年時点の原発比率(1)0%(2)15%(3)20〜25%の3案に対し、抽選で選ばれた各3人が意見を述べる形式。この日は進行側の手違いで、0%案4人、15%案2人、20〜25%案3人だった。

 このうち、原発の新増設を前提とする20〜25%案に、東北電力の岡信慎一執行役員(企画部長)は「会社の考え方をまとめて話したい」と切り出し、電力の安定供給などを理由に、原発は必要と自社の主張を述べた。

 原子力推進を目的に企業や商工団体などで組織する東北エネルギー懇談会の関口哲雄専務理事(元東北電力執行役員待遇)は「政府の案は再生可能エネルギーを大きく見積もりすぎだ」と、原発の積極的な活用を訴えた。

 広く国民の意見を聴くはずの会が一転、原発推進団体の会と化し、参加者からは「被災者をばかにしているのか」など非難の声が上がった。司会者が「お静かに」を連発するが、会場の怒りは収まらず、一時中断した。

 会場にいた仙台市の男性会社員(35)は「推進の考えでも、一般の人の意見を聞きたかった」と憤った。

 事務局によると、聴取会には175人の参加応募があり、抽選で130人を選んだ。うち意見表明を希望したのが93人で、0%案が66人、15%案が14人、20〜25%案が13人。

 これほど差があるのに、バランスを取ろうとするため、0%を支持した人はいずれも宮城県の人だったのに対し、15%と20〜25%案は東北電力関係者2人のほか、東京都の会社員2人、神奈川県の会社員1人と、いびつな発言構成となった。

 岡信、関口両氏は取材に対し、会社や組織からの依頼で応募したことを否定した。

 政府代表として出席した細野豪志原発事故担当相は「抽選で選ぶので仕方ない。福島で開催するときは一般の県民の声が聞けるよう、選び方を考えたい」と話した。

 意見聴取会は16日、名古屋市内で開かれるが、参加応募は締め切った。

(中日新聞)

 

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